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書誌情報

論題:福島原発事故から7年─農業再生の現状と課題─

18.02.28[ 更新18.02.28 ]

タイトル
福島原発事故から7年─農業再生の現状と課題─
要旨

原発事故から7 年が経過した福島県では,帰還困難区域を除く避難指示区域の解除が進み,農産物の作付けや出荷の制限も大幅に緩和されてきた。しかし,解除後の地域でも住民の帰還は進まず,高齢化も著しいなか,農業の担い手や労働力の確保は難しい現状がある。
販売面でも,いわゆる風評被害は払しょくされていないが,県が開発した米の新品種に業務用需要が集まるなど,明るい兆しもある。産地としてのブランドイメージと販路を回復するため,県や農協組織は農業生産工程管理(GAP)の普及やインターネット通販の活用などにも力を入れている。
生産現場では厳しい環境のなか,さまざまな取組みが進められている。南相馬市の旧避難指示区域では,集落を越えた連携で農業生産法人が設立され,県外の企業とも提携して米の販路を確保している。
2017年春に避難指示が解除されたばかりの富岡町,浪江町,飯舘村でも,地元産米を使った酒造り,放牧や耕畜連携による農地の活用,花きや業務用タマネギ,エゴマなどさまざまな作物の導入が図られている。
担い手だけでなく,高齢者らによる自給的な「生きがい農業」を支える飯舘村の事業も注目される。こうした施策を通じてコミュニティーが活性化していけば,本格的な農業復興も展望できるようになるであろう。
原発事故の風化が進み,国民の関心は薄らいでいるが,被災地が直面する課題の多くは「地方消滅」が語られる日本全体の問題でもある。「福島の復興なくして日本の再生なし」という言葉を空疎なスローガンに終わらせてはならない。

刊行年月日
2018年03月01日
著者/
研究者紹介
行友   弥 (ユキトモ ワタル) : 役員・理事長・顧問・理事研究員 等   客員研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2018年03月号 第71巻 第3号 通巻865号  2 ~ 19ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2018/03/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):国内農業
第二分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):環境
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1803re1.pdf  1.1MB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/7012.html