農林中金総合研究所

本書は、最新の産業組織論の成果も踏まえながら農協の組織改革について提言し、実践に役立てるために執筆された。まず、合併や垂直統合にはどのような効果が期待できるのかを明らかにし、効果を発揮するための具体的な提案を行っている。次に、農協が現在直面している問題を乗り越えるには、このような合理性に裏付けられた改革と同時に、協同組合の強みを発揮することが不可欠であることを主張する。そして、近年各分野で浸透しつつある複雑系理論を応用しながら、協同組合の活力はいかにして生まれるかについて明らかにし、協同組織性を発揮するための具体的な提案をわかりやすく行っている。
　農協の関係者や農協の将来に関心のある方々に、広くおすすめする。

第１部　農協をめぐる基本問題
農協で何が起きているのか / 農協の組織・事業改革への取り組み
第２部　農協改革をめぐる組織論
農協の合併問題 / 組織整備と垂直統合
第３部　協同の力を発揮するための農協組織論
歴史的経過から見た農協の協同組織性 / 「複雑系科学」と産業組織論
/ 創発する農協になるための方策 / 組織学習と農協
/ 相互作用を通した消費者・実需企業との連携 / 創発と改革で作る２１世紀のJA