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書誌情報

論題:WTO農業交渉の主要論点と今後の課題

要旨

1 ウルグアイ・ラウンド農業交渉では,国境措置・国内支持・輸出規律について包括的なルールが定められた。しかし実態は,輸出補助金の削減をめぐるEUと米国の対立が中心であった。EUは,農産物支持価格を引き下げる一方で生産者への直接支払いを導入して,これを乗り切った。
2 その後,EUは農政を,削減対象とされない生産者への直接支払いに一層傾斜させてきた。米国は,自らの先鋭的な自由化要求とは裏腹に,6兆円にのぼる追加予算を上乗せしつつ,今回交渉に臨んでいる。
3 今回の交渉では,わが国およびEUは,農業の多面的機能への配慮,食料安全保障の確保等「非貿易的関心事項」への配慮を主張し,保護の漸進的な削減を求めている。米国,ケアンズ諸国は,関税率を25%以下に引き下げる等,極めて先鋭な自由化要求を出している。その一方では輸出補助金や輸出信用,輸出規制等が認められており,米国等の提案は極めてバランスを欠いている。
4 米国等の提案する関税引下げや国内支持の削減を実施すれば,稲作を中心とするわが国農業は存続が不可能になる。
5 過去の農産物貿易は,少数の先進国・地域から発展途上国・地域への輸出が増加する形で拡大してきた。単なる自由化は,その傾向を一層強めることになる。それは,食料安全保障の喪失,現在も8億人にのぼる飢餓人口にとっての食料へのアクセス機会の減少,今後50年間で世界の人口が1.5倍に増加するなかでの,食料確保の困難化をもたらす。また,国土保全面や地域社会の維持等で果たしている農業の多面的機能を失わせることにもつながる。
6 このような点を踏まえ,国際的にも国内においても,多様な農業の共存が確保されるような方向で交渉がまとめられ,また,それに沿った形でわが国農政が確立されることが必要である。

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http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0212re1.pdfPDF(146KB)

刊行年月日 2002年12月01日
更新日 2010年09月02日
掲載コーナー名 論調
著者
石田 信隆(イシダ ノブタカ) :基礎研究部 基礎研究部長 研究員紹介を見る
出版者・編者 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
掲載媒体 定期刊行物 『農林金融』
2002年12月号(第55巻第12号 通巻682号) 2~22ページ
掲載号目次 http://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2002-12.html
第一分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):国内農業
第二分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):海外農業
ISSN 1342-5749
キーワード WTO,ガット,ウルグアイ・ラウンド,農業交渉,ドーハ・ラウンド,貿易
 
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