論題:WTO加盟1年目の中国農業の動き-予想外の農産物貿易展開と大きな制度変革の動き-

書誌情報

掲載日:2003年03月01日 更新日:2010年09月02日

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タイトル WTO加盟1年目の中国農業の動き-予想外の農産物貿易展開と大きな制度変革の動き-
要旨 1 WTOに加盟する前から,中国が加盟することによって競争力の弱い穀物等農産物の輸入が拡大し,農家への打撃が甚大だという懸念は内外で指摘されていた。一方,WTOに加盟して諸外国からの最恵国待遇の享受により,中国の競争力のある労働集約型農産物の輸出が急速に拡大する可能性もあると予測されていた。
2.加盟1年目の2002年の中国農産物貿易は天候異常による海外農産物価格の高騰及び先進諸国の食品検疫体制の強化などにより,加盟する前の予測と異なった展開をしている。土地集約型農産物の輸入が減少した一方,輸出が増えた。労働集約型農産物の輸出は予測されたほどの急速な伸びはなかった。
3.経済の急成長と高度化により比較劣位化してきた中国農業は,WTO加盟の衝撃を緩和するために,いわば競争力を強化するために,市場機能を活用する方向で構造調整の速度を上げている。量より質への転換,需要の高い労働集約的な商品作物や畜産物などの増産,主要農産物の産地集中化,農産物加工業の振興,流通の市場化などである。
4.中国農業の高コスト及び農家所得の低下をもたらしているのは,零細規模等のほかに,農家に課す様々な税金,費用等の公的負担も重要な要因である。これは,主として中央政府が農村エリアの県と郷鎮政府に様々な行政サービスを義務づけているにもかかわらず,そのコストを郷鎮政府が賄うための財源措置を中央政府はほとんど講じておらず,郷鎮政府はその財源補填のために農民からの公的徴収を増やさざるを得ないためである。
5.先進諸国は農業へ多額の助成金を出しているのに対し,中国は農業に高い税金と費用の負担をかけている。これは,農産物の生産コストを相対的に押し上げ,中国農業を「高価農業」にさせているだけではなく,農産物の輸入増と中国農産物の輸出競争力の低下を助長しているのである。この意味で,2002年から加速したこの農村税費改革は,農家の所得上昇と中国農業の競争力向上には欠かせないものである。
刊行年月日 2003年03月01日
著者/研究者紹介
阮 蔚(ルアン ウエイ) :調査第二部 副主任研究員
掲載媒体 定期刊行物 『農林金融』
2003年03月号第56巻第3号通巻685号 24~42ページ
掲載コーナー 論調
掲載号目次 http://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2003-03.html
第一分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):海外農業
キーワード 中国農業,WTO加盟の影響,農産物貿易,農業税改革,農業補助
出版者・編者 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN 1342-5749
PDF URL http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0303re2.pdf(143.4KB)
書誌情報URL http://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1523.html