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論題:食品産業の原料調達動向

要旨

1 近年,農水産物の最終消費は,加工食品や外食・中食という形態で行われることが多くなった。したがって,食料自給率の維持・向上のためには,加工・業務用需要に的確に対応するとともに輸入品使用をできる限り国産品に置き換えていく努力が必要となる。
2 加工食品メーカーや外食・中食事業者は,バブル崩壊後の不況下ですすんだ消費者の低価格志向に牽引され,さらに円高と輸入自由化を追い風にして,より安価で加工しやすい食品原料を海外に求めるようになった。食料品・動物(原材料を含む)の輸入額は,1990年の4兆926億円から06年には5兆246億円へと増加している。
3 食品製造業の原材料費率は90年代には総じて低下したが,原油高と穀物相場の上昇等により00年ごろを境に05年にかけて多くの品目で上昇に転じた。工業統計表上の業種ごとの主要食料原料比率の推移について産業連関表を使って見てみると,素材型加工食品では,原料の海外依存度が高いなかで,為替レートが円高に向かうにつれて主要食料原料比率が低下してきた。また,素材型加工食品について主要食料原料に占める輸入額割合の推移をみると,為替レートの円高化に連動する形で同様に低下している。
4 加工型加工食品の主要食料原料比率は,一般に原料の海外依存度を高めることによって維持・低下してきた。品目別に見ると,肉加工品,農産瓶缶詰,冷凍調理食品では,輸入原料を増やすことで原料比率を低下させた。飲食店,惣菜・寿司・弁当では,同様に原料輸入を増やしたが,惣菜等は米飯類製品の生産増によるコメの投入増で原料比率が上昇した。漬物を主体とする農産保存食料品や酪農品原料の海外依存度は低く,国産原料の動向が原料比率を維持・低下するうえで重要となる。
5 00年以降の原材料費率上昇への対応は,価格転嫁が中心で,国産品への切替は低位にとどまっている。しかしながら加工型食品製造業・外食産業の食材仕入れの主力は国産品であり,それも生鮮野菜に限っては産地からの仕入れが圧倒的に多い。売上規模が小さい外食企業ほど国産野菜志向が強い事実とあわせ考えると,地産地消における食農連携の推進が,輸入対抗力,自給率向上に有効・不可欠なことを示している。
6 食品産業は厳しい原料調達姿勢を保持していくものと考えられるが,野菜に限っても国内生産額2.5兆円の33%相当を調達する巨大セクターであり,農協系統としては引き続きその需要動向を探りつつ的確に対応していく必要があろう。

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http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0709re1.pdfPDF(135.3KB)

刊行年月日 2007年09月01日
更新日 2010年09月03日
掲載コーナー名 論調
著者
藤野 信之(フジノ ノブユキ) :基礎研究部 主席研究員 研究員紹介を見る
出版者・編者 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
掲載媒体 定期刊行物 『農林金融』
2007年09月号(第60巻第9号 通巻739号) 2~16ページ
掲載号目次 http://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2007-09.html
第一分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):食品・フードシステム
第二分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):国内農業
ISSN 1342-5749
キーワード 食品産業,食品原料,食品,輸入,海外依存,原材料
 
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