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書誌情報

論題:アルゼンチンの穀物需給と貿易動向-国内事情優先で有名無実化する貿易協定-

要旨

1 世界的な穀物価格の高騰により「食糧危機」が叫ばれ,主要生産国の生産・貿易動向に注目が集まっている。主要穀物・油糧種子である大豆,トウモロコシ,小麦の世界輸出は,上位の数か国でその大宗を占めている。このいずれにも顔を出すのが,米国,アルゼンチンであり,ブラジル(小麦を除く)である。また,アルゼンチン農協連(ACA)は全農と40年来の協定取引関係を持っており,農協系統にとって重要な飼料原料輸入先となっている。
2 アルゼンチンは,2001年の経済危機を,ペソの対ドル為替レートを3分の1に切り下げて乗り越え,大豆,大豆油等の生産・輸出増もあって03年以降年率8~9%の実質経済成長を達成している。
3 アルゼンチンの主要穀物等の収穫面積は,トウモロコシ,小麦では過去20年間ほぼ一定であるのに対し,大豆の収穫面積は1996年ごろを起点にして急拡大したが,この急拡大には遺伝子組換え(GM)種子の普及が,コストと手間の削減を通じて作用している。いずれの土地生産性(単収)も,生産技術要因にパンパ地域の肥沃さも加わって世界3位と高い。担い手は,近年大規模化,会社化している。
4 大豆・大豆油の主要輸出先は中国であり,生産増は中国が自給をあきらめ純輸入国に転じたことに呼応している。なお,アルゼンチンでは,今後食料の対外依存度が高まると予想される中国・インドを「Chindia(=China+India)」と呼んで,主要な市場標的としている。また,穀物メジャーは,生産,大豆油搾油,輸出の各局面でアルゼンチンの穀物等に大きく関与している。
5 小麦は,91年発効の関税同盟である南米南部共同市場(MERCOSUL)の無税特権が利用され,輸出量の約6割が隣国ブラジル向けとなっている。ブラジルからみると小麦輸入のほぼ全量をアルゼンチンに依存している。
6 アルゼンチンによる穀物等の輸出制限は,輸出税(輸出課徴金)と輸出登録制度運用で行われているが,35%だった大豆の輸出税が08年3月に41%へ引き上げられたことによって農民スト等で国内が混乱し,7月には元の税率に戻された。また,輸出登録制度運用による輸出規制は,MERCOSUL関税同盟国のブラジル向けにも適用され,自由貿易協定(FTA)が食料安保に無力であることの一証左となった。

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http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0809re2.pdfPDF(182.4KB)

刊行年月日 2008年09月01日
更新日 2010年09月06日
掲載コーナー名 論調
著者
藤野 信之(フジノ ノブユキ) :基礎研究部 主席研究員 研究員紹介を見る
出版者・編者 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
掲載媒体 定期刊行物 『農林金融』
2008年09月号(第61巻第9号 通巻751号) 20~34ページ
掲載号目次 http://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2008-09.html
第一分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):海外農業
第二分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):食品・フードシステム
ISSN 1342-5749
キーワード アルゼンチン,食料,ブラジル,穀物,大豆,小麦
 
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