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論題:スイス「農業政策2014-2017」の新たな方向――直接支払いの再編と2025年へ向けた長期戦略――

要旨

1 スイスの次期「農業政策2014-2017」へ向けた検討は2005年に開始された。政策評価や議会の要請(直接支払制度の見直し,食料安全保障,国内産品の差別化対策など)を踏まえ,2010年8 月に2025年へ向けた長期戦略が打ち出された。これを受けた次期改革案は13年3月に議会で採択された。詳細を定める政令は13年秋に採択の予定。
2 農業政策の目的は各種公益(国民への供給の保障,自然資源保全,農村景観維持,国土の分散的居住)である。農業法改正でこれに動物福祉が追加された。また農業施策は食料主権に従いかつ農業・食品部門の品質戦略と整合するよう定められた。
3 現行の直接支払いの問題は,環境への貢献が不十分な面があること,および政策目的との関係が不明確なことである。とくに頭数支払いは山岳地帯などで草地の有効利用よりむしろ安価な濃厚飼料による増産を招いた。また一般面積支払い(農家の所得保証)には地主への所得移転や土地の流動性低下という問題がある。
4 直接支払制度は15年ぶりに刷新される。頭数支払いおよび一般面積支払いを廃止して新たな面積支払い(供給保障支払いと農業景観支払い)で置き換える。直接支払い全体の3 分の2 を占める当該予算は4 割強に縮小され,削減分は8 年間をかけて他の直接支払いに移転する。またその間の移行措置(移行支払い)は土地や家畜から切り離されて個々の農業経営に結びつけられ,土地の分割や廃業の際は打ち切られる。農業団体は財源移転の大幅縮小を求めたが環境・経済団体の反対にあい一部しか実現しなかった。
5 供給保障支払いは中長期的な供給力の維持を目的とし,基礎支払い,丘陵・山岳地帯の条件不利支払い,開放耕地支払いがある。後者は作付けの減少している穀物など畑作を草地よりも優遇するもの。永年草地の基礎支払いには牛の最低飼養頭数要件が課される。
6 農業景観支払いの目的は草地の森林化を食い止めて開放農業景観を維持することである。丘陵・山岳地帯,夏季山岳放牧地,および傾斜地が対象となる。
7 景観の質に対する支払いは減少している景観の多様性を維持するためのものであり,州政府による取組みを対象とする。
8 生産方式支払いは現行の有機農業,粗放生産,動物福祉に対する支払いを統合し,新たに草地飼料による酪農・畜産を加える。生物多様性支払いと資源効率支払いも既存の施策を継承,拡充するものである。
9 次期改革は2025年戦略の第一の柱に対応して政策手段の効率を高めるものとみなせる。次々期以降は第二の柱である農業と食品の政策統合がさらに進むとみられる。
10 直接支払いは多面的機能と結びつきを強め,所得支持のための直接支払いは縮小廃止の方向となった。ただし直接支払いはなお飼料穀物や牛乳の需給調整機能も負っている。

<地域:欧州,ヨーロッパ>

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http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1307re3.pdfPDF(1.1MB)

刊行年月日 2013年07月01日
更新日 2013年07月01日
掲載コーナー名 論調
著者
平澤 明彦(ヒラサワ アキヒコ) :基礎研究部 主席研究員 研究員紹介を見る
出版者・編者 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
掲載媒体 定期刊行物 『農林金融』
2013年07月号(第66巻第7号 通巻809号) 43~62ページ
掲載号目次 http://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2013-07.html
第一分野 (大区分):農林水産業・食料・環境  (詳細区分):海外農業
ISSN 1342-5749
キーワード 自給率,EU,牛乳割当廃止,持続可能な消費,協議文書と教書,国際価格
 
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