1. TOP
  2. 刊行物
  3. 農林金融
  4. 論題:中国の農業経営体制の新たな変化

書誌情報

論題:中国の農業経営体制の新たな変化

13.02.01[ 更新13.02.01 ]

タイトル
中国の農業経営体制の新たな変化
要旨

1 この数年来,中国の工業化と都市化の進展,農業労働力の段階的な移動と高齢化傾向,ますます増える技術と資本の農業への関与,農業合作社の出現といった諸要因の作用に伴い,従来の農家家族経営の形式には変化が起きつつある。本稿は,実地調査を踏まえ,これらの変化の形式について初歩的な整理を行い,将来の発展動向について判断を下すこととする。
2 中国の改革・開放,農村経営体制の変革は,農村の生産能力を解放し,農民の生産意欲を高め,これによって農業生産が急速に伸び,長期にわたる食糧不足問題が解決された。
3 農業生産における様々な要素の変化,例えば農業生産のインフラ改善,農業生産における労働力使用コスト及び生産財投入等の変化からみて,中国の農業は,既に資本が労働に速やかに取って代わる段階に入った。中国農業は,こうした大きな背景の下で新たな経営形式を探求するようになった。
4 次に,農村の実地調査に基づき,現実の農村における幾つかの新しい農業経営形式をまとめた。例えば,「土地委託管理」形式は,実質的に農業生産の委託管理であり,農業生産経営の各段階での専門サービスを農家に提供している。また,「家族農場」形式は,農地の流動化を受けた,農民が経営する5~8ha規模の小型農場である。さらに各種の大きな食糧栽培農家と専業農家も比較的速いペースで発展している。その他,農民専業合作社が新たな発展段階に入り,2007年の「農民専業合作社法」施行以来,農民合作社は既に70万社近くを数え,約18%の農家をカバーしている。また,多様な形式のサービス型合作社が一段と急速な発展を遂げ,農業の社会化サービス体系も徐々に形成されつつある。
5 農村経営制度における変化の動きは,次のように分析,指摘できる。
①「人口が多くて土地が少ない」「農家の土地経営規模が最も小さい国の1つである」という中国の国情を短期間に改めることは不可能であり,家族経営は最も普遍的な農業経営形式となっている。
②工業化と都市化の推進により,農家の土地請負権と経営権は分離が続く状況を呈しており,これは農業経営体制・仕組みの革新を進めるための基本的条件である。
③中国は農業の生産効率を高め農民の収入を増やすため,土地の「適度な」大規模経営を実現する必要がある。
④中国は近代的農業を発展させ,農業の土地生産性,労働生産性,資源利用率を高めるため,農業経営制度革新の実現形式を引き続き探求する必要がある。

刊行年月日
2013年02月01日
著者/
研究者紹介
徐   小青 (Xu Xiaoqing) (シュイ シャオチン) : 中国国務院発展研究センター 農村経済研究部長
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2013年02月号 第66巻 第2号 通巻804号  22 ~ 36ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2013/02/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):海外農業
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1302re2.pdf  836.2KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/4633.html