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書誌情報

『世界食料危機』

22.09.09[ 更新22.10.26 ]

タイトル
『世界食料危機』
要旨

<<ウクライナ危機が浮き彫りにする飢餓の構図>>
■肥沃な土壌「チェルノーゼム」(黒土)が広がり、世界的な穀倉地帯を抱えるウクライナ。広大な農地を抱え、農産物の増産に力を入れてきたロシア。両国は近年、安価な穀物の輸出をとおして、アフリカやアジアの途上国を中心に数億人の食料を支えてきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻により「世界のパンかご」とも呼ばれる豊穣な地域は破壊され、世界の食料事情は一変しつつある。すでにアフリカ東北部では、4季連続で雨季に降雨がわずかしかない過去最悪ともいわれる干ばつが続き、1300万人が飢餓に直面するなか、輸入食料の高騰に直面。「第2次世界大戦後、目にしたことのないような大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給にもたらそうとしている」(WFP)。
■著者はこうした危機的状況が、両国の戦争状態解消によってすぐに正常化するとは考えていない。世界の食料生産は構造的な問題を孕んでいるからだ。脱炭素の動きを受けたエネルギー価格の高騰とバイオ燃料生産の増加、大国の都合による穀物の低価格輸出、温暖化による干ばつや洪水の多発、地下水の枯渇、新興国での食肉の増加など、解決が困難な問題が山積している。
■足元では、経済制裁による化学肥料の流通減に加え、原料高にともなう化学肥料の大幅値上げが続く。肥料の使用抑制が広がり、来年以降の収穫減につながりかねない。気候変動などの中長期的問題に戦争の災禍が加わり、世界の食料生産は複合危機に陥る可能性が高まっている。日本も物価の高騰だけでは済まなくなることが懸念されている。
■本書は、ロシアによるウクライナ侵攻を端緒に、眼前に広がる世界規模の食料危機とその複雑な背景、さらには日本の食料安全保障など注目のテーマを、一般には知られていない情報を盛り込みつつ読み解く。日本にできる貢献についても触れる。著者は、ウクライナなど世界各地での現地調査も交えてリサーチしてきたベテラン研究者。

目次・表紙
『世界食料危機』
第1章 侵略された「世界のパンかご」――悲劇の種は世界へ蒔かれた
第2章 食肉の消費拡大が飢餓を生む――主食穀物を圧迫する畜産の飼料
第3章 地球温暖化がもたらすもう一つの危機――農業は加害者であり被害者
第4章 食料か、燃料か――バイオ燃料が生み出した新たな農産物争奪戦
第5章 飢餓を招く大国の論理――アフリカ農業を壊した米欧の穀物戦略
第6章 化学肥料の争奪――膨大な人口を支える工業化された農業
第7章 日本の食料安全保障――世界との調和
刊行年月日
2022年09月09日
著者/
研究者紹介
阮   蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) : 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員 研究員紹介を見る
出版地
東京
出版者・
発行元
株式会社 日経 BP 日本経済新聞出版
形態(サイズ、
ページ)
224ページ
入手条件・
価格
定価:本体990円(税込)
掲載媒体
『書籍』
2022年09月09日号
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  
(詳細区分):海外農業
第二分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  
(詳細区分):国内農業
ISBN
4296115057
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/publication/books/9033.html