書誌情報
論題:中国食品産業の現状-食品需要の変化と食品産業の発展-
99.08.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 中国食品産業の現状-食品需要の変化と食品産業の発展-
- 要旨
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1 生鮮品を原料とする中華料理は古くから世界的に有名であるが,工業としての中国食品産業の急速な発展はこの十数年のことである。中国食品産業の発展を阻む最大の要因は需要サイドの低水準にある個人所得の制約であった。1978年からの経済改革・開放政策は経済の高成長をもたらすとともに,食品産業の発展を制約する需要不足の要因を緩和した。
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2.需要サイドのもう一つ重要な変化は家事労働の簡便化を求める傾向である。つまり,80年代以降,給料の高い職場の出現や,業務実績に応じたボーナス制度の導入など,所得上昇のチャンスが出てきており,依然として家事労働に多くの時間を費すとその機会費用が相対的に高くなってしまうのである。
3.所得の上昇と家事労働の簡便化により食料消費は,食肉や魚介類という所得弾性値の高いものへの移行→質的な充実→加工・調理等簡便化食品への需要拡大→少品種大量消費から多品種少量消費へ,と徐々に高度化・多様化してきている。
4.食品産業は需要に応じた形で80年代からようやく発展の段階に入った。中国の食品産業の特徴の一つは1割産業といえることである。つまり,鉱工業生産総額に占める食品産業の割合はほぼ10%前後を占める一大産業である。食品産業の構成比については,酒・飲料とタバコのウェイトが高すぎることがあげられるが,一つの変化はインスタントラーメンや冷凍食品等の加工食品の割合の上昇である。
5.食品産業の経営構造は,低付加価値率,低資本利益率と高い資本回転率という特徴がある。それは,原料価格の変動が激しいこと,原料および製品が腐敗性をもつこと,原材料のもつ風味を生かした低次加工の限界があること,在庫を長く持たない(高い資本回転率になる)こと,という世界食品産業の共通のもののほかに,企業規模の零細さ,技術水準の低さ,新製品開発能力の弱さ,マーケティングの脆弱さなど,中国食品産業の特有の要因もある。 - 刊行年月日
- 1999年08月01日
- 著者/
研究者紹介 -
阮 蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) :調査第二部 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
1999年08月号 第52巻 第8号 通巻642号 61 ~ 82ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- キーワード
- 食品産業,中国
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1244.html