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書誌情報

論題:財政投融資制度改革と金融市場の展望-新たな局面を迎える財政と政府関係債市場の行方-

01.01.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
財政投融資制度改革と金融市場の展望-新たな局面を迎える財政と政府関係債市場の行方-
要旨

経済環境の変化のなかで,運用・調達両面での肥大化や非効率性が指摘されてきた財政投融資制度の改革が,4月から行財政改革の一環として実施に移される。この改革は,入り口(郵便貯金など),中間(資金運用部),出口(財投機関)に市場原理を導入することにより効率化を促すことに主眼がある。この改革では,①郵便貯金などの運用部預託義務を廃止し市場で自主運用する,②財投機関は財投機関債,政府保証債の発行で市場から資金調達するが,これが困難な機関は特別会計が財投債発行で調達した資金の融資を受ける,③既往貸付継続や財投債引受には,当分の間,郵便貯金が相当の負担を負う,とされた。この改革は「抜本改革の第一歩」と受け止められ,「政策コスト分析」導入は評価されているが,財投機関債発行を通じ市場規律により財投機関の効率化を促す手法は疑問視されている。また自主運用後の郵貯経営にも不透明な点が多く,民間との競争条件の不平等は解消しないとして更なる改革を求める声が強い。このため,政策コスト分析の精緻化や第三者機関の設置など民主的手続を通じて財投機関のあり方を監視することを基本とし,市場を通ずる規律付けについても,①情報開示強化,②財投機関の破綻手続や格付けなどによる財投機関債の「暗黙の政府保証」排除,③資産担保証券の発行など環境整備が必要である。新年度の政府関係債発行は,国債増発に加え財投債発行もあり前年度比10兆円以上増え,100兆円近くとなる計画。この量的な増加による金利面への影響のほか,郵貯自主運用に伴う長短需要のミスマッチもあり,民間の資金需給いかんで長期金利への上昇圧力が懸念される。民間消化促進のため,国債の流通市場整備などが喫緊の課題となっている。上記の方向のなかで,入り口で郵貯,出口で各財投機関と競合する形で業務を展開し,政府関係債関連業務と深くかかわっている系統信用事業は,金融システムの変化のなかで地域金融などの面で一層その役割を果たしていくことが期待される。

刊行年月日
2001年01月01日
著者/
研究者紹介
荒巻   浩明 (アラマキ ヒロアキ) : リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2001年01月号 第54巻 第1号 通巻659号  52 ~ 68ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2001/01/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
キーワード
財投改革,郵便貯金制度,政府関係債,金融市場
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0101re4.pdf  193.5KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1336.html