書誌情報
論題:公的金融改革の方向と課題-郵政三事業・特殊法人改革の視点を中心に-
02.01.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 公的金融改革の方向と課題-郵政三事業・特殊法人改革の視点を中心に-
- 要旨
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2001年度から公的金融の中核となる財政投融資制度改革が実施されたが,これは経営責任の不明確性,事業の非効率性是正と官民の役割分担見直しによる民間部門活性化の要請を背景とするもの。小泉改革では特殊法人改革を構造改革の柱の一つと位置付け,総理の強いリーダーシップの下,①石油公団,都市整備公団,住宅金融公庫など17法人の廃止・統合のほか,②道路関係4公団など45法人の民営化,③雇用・能力開発機構など38法人の独立行政法人化,等を盛り込んだ整理合理化計画を決定。この改革は,国民経済への公的関与のあり方として,責任範囲の不明確な特殊法人という経営形態を見直した点,民間並みの基準による行政コスト分析や政策コスト分析により情報開示を図った点は前進であり,財政負担の大きい法人の事業に歯止めをかけたことも評価されている。しかし,政府系金融機関8法人の改革が年初からの検討に先送りされるなど官民の役割分担の論理に一貫性を欠く部分があり,更なる改革を求める声も強い。上記を踏まえて,今後の郵政事業改革に当たっては,民業を圧迫しない程度までの貯金限度引下げ,民間との競争条件公平化,情報開示の適正化,現行監視体制見直しが不可欠の前提。政府系金融機関,事業法人の業務についても,民業補完の徹底に加え,情報開示の拡充,第三者機関の評価など民主的手続きを通ずる業務・組織の絶えざる見直しが求められる。政府関係債市場の規模は,国債借換債・財投債の増発から2002年度は100兆円を超える市中発行の計画。商品面でも,2002年度は住宅金融公庫の組織改廃に伴う住宅ローン証券化の増加や不動産投資信託スキームによる賃貸住宅収入の証券化が進み多様化する。先行きの金利上昇に備えて,個人消化のための商品性の工夫や流通市場などの整備が必要。併せて,財投機関債・地方債などの民間消化を円滑化するうえで,特殊法人改革等に係る情報開示徹底のほか,格付け情報充実,倒産法制整備なども検討課題。
VIEW MORE CLOSE - 刊行年月日
- 2002年01月01日
- 著者/
研究者紹介 -
荒巻 浩明 (アラマキ ヒロアキ) : リサーチ&ソリューション第1部 理事研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2002年01月号 第55巻 第1号 通巻671号 45 ~ 63ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 第二分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- キーワード
- 財政投融資制度改革,小泉改革,政府関係債
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1415.html