書誌情報
論題:グローバル化が加速する中国の食品市場と食品産業-高まる外資系のウェイト-
02.05.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- グローバル化が加速する中国の食品市場と食品産業-高まる外資系のウェイト-
- 要旨
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1 中国食品産業の98年以降の主な変化は,量から質へ,低次加工から高度加工への転換である。アルコール度数の高い蒸留酒(中国語は「白酒」)製造業やタバコ加工業のウェイトが低下している代わりに,加工食品のウェイトが上昇している。
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2.90年代末に物不足から抜け出した中国経済全般と同様に,食品,特に低次加工食品は全般的に供給過剰になった。それに外資系企業の参加が加わり,これらは食品市場での競争を刺激し,食品企業の統廃合を促した。98~2000年の3年間に食品企業の数は2,130社減少した。その結果,食品のブランドへの集中度が高まりつつある。
3.食品業界は中国で最も早くから開放された業界の一つであり,香港や台湾資本を含む外資系食品企業の中国に対する投資は80年代の半ばから始まった。そのため,食品産業における外資系企業のウェイトも高まっている。2000年の外資系食品企業の生産額は,1,945.8億元と同年食品工業総生産額の23.3%にもあたる。
4.外国資本の中国への投資はWTO加盟の影響もあって,近年,急速に増加しているなか,その投資パターンも多様化している。三洋電機と中国の家電大手のハイアール,松下とTCLとの提携など,家電業界の提携が目立つが,食品業界も同様に,中国系有力企業と外資系企業が資本提携するケースが近年増えている。
5.中国食品産業の生産額は農業生産額の30~40%しかなく,先進工業国の2~3倍に比べ大幅に遅れている。これは食品産業の発展余地が大きいことを示唆している。一方,零細企業が依然として多いこと,ブランドへの集中度がなお低いこと,新商品の開発能力が弱いこと,農業との連携が弱いことなど,中国食品産業が直面する課題も多い。 - 刊行年月日
- 2002年05月01日
- 著者/
研究者紹介 -
阮 蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) : 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第1部 理事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2002年05月号 第55巻 第5号 通巻675号 21 ~ 37ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- キーワード
- 中国,食品産業,食品企業,外資系食品企業,中国への投資
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1445.html