書誌情報
論題:特殊法人改革と政策金融-政府系金融機関の改革議論と個別事例としての日本政策投資銀行および公営企業金融公庫の現状と課題-
02.11.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 特殊法人改革と政策金融-政府系金融機関の改革議論と個別事例としての日本政策投資銀行および公営企業金融公庫の現状と課題-
- 要旨
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昨年末の特殊法人等整理合理化計画で先延ばしされた8政府系金融機関の改革議論が,現在活発化している。10月7日には経済財政諮問会議より改革についての基本方針が示されている。年末に向け,具体的な個別機関の改革案が示されることになるが,現下の不良債権処理にもたつく民間金融機関の機能不全から,依然として政府系金融機関に対する期待は大きい。中期的方向性は示されても,具体的な移行期の姿を描ききれるかは不透明であろう。昨年末,一足先に組織の改革案が提示された住宅金融公庫は,毎年の国による財政負担の大きさが,改革への圧力になった。しかし,現在議論されている8機関のなかには,表面的には財政負担の少ない機関も含まれる。国の厳しい財政状況をかんがみれば,財政の許容度は大きなポイントとなるが,本来政策金融は,民間金融機関がとれないリスクをとるものであり,赤字を出さないことは必要な条件ではない。政策金融の対象分野の限定,民間金融を補完することに徹底した改革が期待される。99年に日本開発銀行と北海道東北開発公庫が統合して設立された日本政策投資銀行は,財務面では良好な政府系金融機関の一つである。しかし,第三セクターへの融資や不動産業,建設業,卸小売業への融資シェアが大きく,他方で民間基準での貸倒引当金の不足額が巨大であり,今後の懸念材料となっている。また,総合政策金融機関として業務に柔軟性がある一方で,役割を果たした業務分野からの撤退ルールが明確ではないため,民間との競合が過去一貫して指摘されている。地方公共団体の資金調達の一翼を担う公営企業金融公庫は,貸出先へのモニタリング機能をもたず,独立した金融機関として議論をすることは難しい。同公庫の改革は,地方公共団体の資金調達システムを考える上での一つの課題であり,国と地方との関係,地方財政制度全体の改革のなかから議論されるべきであろう。
VIEW MORE CLOSE - 刊行年月日
- 2002年11月01日
- 著者/
研究者紹介 -
丹羽 由夏 (タンバ ユカ) :調査第二部 研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2002年11月号 第55巻 第11号 通巻681号 23 ~ 38ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 第二分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- キーワード
- 政府系金融機関の改革,第三セクター,地方公共団体の資金調達,公営企業金融公庫
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1491.html