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書誌情報

論題:食品産業と国内農業連携施策の展開と課題-フードシステム論からのアプローチ-

03.09.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
食品産業と国内農業連携施策の展開と課題-フードシステム論からのアプローチ-
要旨

食品産業と国内農業は「車の両輪」にたとえられて久しいが,その両輪は心棒がつながっていないと揶揄されてもきた。食品産業と国内農業の連携に関する施策は,食料・農業・農村基本法第17条「食品産業の健全な発展」を根拠とする施策であるが,食料の安定供給確保という基本理念の実現に向けて総合的な食料政策の展開に深くかかわるものである。
連携施策は,元々,農業政策とリンクした国産農産物の利用促進という観点を有している。市場原理に基づく価格政策への転換が進む中で,従来行われてきた価格政策や品目別生産対策と関連している。国産小麦の振興と製粉会社の関係に典型的にみられるように,むしろ利害調整を要し政策的判断を伴うものである。
食をめぐる環境は大きく変化しており,特に食の外部化やサービス化が進行している。これに伴い,加工食品や中食,外食の利用が進んでおり,これに対応した加工用・業務用需要に対する供給体制を充実する上で連携強化が重要な課題となっている。これは,穀物・大豆,野菜・果実,畜産物等主要な農産物に共通する課題となっており,フードシステム全体を視野に置いた総合的な対策が必要となっている。
食品産業と国内農業は相互連鎖で結ばれており,多様な利害関係も内在する。こうした利害関係の調整や円滑化をはかることは連携施策の重要な機能といえる。また,食品産業と国内農業が連携して取り組むべき課題として,食料の安定供給だけではなく「安全・安心な供給体制の確立」や「食品循環資源の再生利用」などへの展開もでてきている。 地域の様々な状況に応じて,地域性の豊かな生産,加工・流通体制を確立することは,地域振興や農村振興などの一環として,都道府県や市町村などの施策としても展開されてきた。連携施策も地域主義の観点にたって,地域の実態にあった施策としての充実をめざす必要がある。
消費者の視点にたった連携関係の構築は今日的課題となっている。地域においては地産地消やスローフードなど各種団体の進める運動や村おこし・村づくりなど様々な取組みがあり,生産者や食品産業事業者の積極的な参加が期待されている。連携の対象を広く地域に置き,豊かな地域コミュニティーの形成の一環としても取り組まれるべきものである。

刊行年月日
2003年09月01日
著者/
研究者紹介
鴻巣   正 (コウノス タダシ) : リサーチ&ソリューション第2部   専任研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2003年09月号 第56巻 第9号 通巻691号  32 ~ 47ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2003/09/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):食品・フードシステム
キーワード
食料政策,食品産業政策,食品加工,農商工連携,地産地消
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0309re3.pdf  127.7KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1571.html