書誌情報
論題:日本の公的債務の特徴と管理政策の課題-「研究会」の検討を巡って-
03.10.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 日本の公的債務の特徴と管理政策の課題-「研究会」の検討を巡って-
- 要旨
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現在,「公的債務管理政策に関する研究会」において,日本の公的債務管理のあり方に対する議論が進んでいる。従来から国債管理政策として,円滑な国債の消化を図るための対策が議論されてきたが,今回の公的債務管理政策は,国債以外の公的債務にも対象を広げた,包括的な議論である。日本の公的債務の特徴は,国債以外に,地方債,政府関係機関債,郵貯,簡保,公的年金など,対象範囲が非常に広く,さらにその債務残高も多額なことである。また,日本の公的債務は保有の段階で,公的部門が大量に保有していることも大きな特徴である。国債では約6割,(証券形式に限った)地方債では3割強,政府関係機関債では5割強が公的部門に保有されている。いずれも90年代に急速に公的部門の保有割合が拡大した。公的債務の公的部門保有は受益と負担があいまいになり,他方で,金融市場における一プレーヤーとして公的部門が巨大であることから,価格形成に大きな影響を及ぼすリスクも存在する。同「研究会」での議論は,上記日本の公的債務の特徴から起因する公的債務の対象範囲と公的部門保有の問題に集中しており,リスクの把握手法や今後の資金調達のあり方に対しては,まだ踏み込んだ議論となってはいない。しかし,わが国の公的債務の対象範囲を明らかにすること,つまり債務の責任の所在を明確にすることは,重要な課題の一つである。また,表面的な債務の負担感を軽減し,価格形成にも影響する公的部門の公的債務の保有についても,そのあり方の検討は必要であり,研究会の今後の議論に注目したい。
VIEW MORE CLOSE - 刊行年月日
- 2003年10月01日
- 著者/
研究者紹介 -
丹羽 由夏 (タンバ ユカ) :調査第二部 副主任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2003年10月号 第56巻 第10号 通巻692号 32 ~ 42ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 第二分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- キーワード
- 公的債務,地方債,郵貯
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1581.html