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書誌情報

論題:地方債の信用力

04.01.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
地方債の信用力
要旨

地方公共団体間に信用力格差が存在するなら,その資金調達の費用に差が生じるのはさけられない。しかし,従来から総務省(旧自治省)は,各地方公共団体が発行する地方債の信用力に,差は無いと繰り返し説明してきた。これは地方債を取り巻く諸制度によって,「暗黙の政府保証」が存在し,地方債にデフォルトがないからだと主張されている。一方,日本の地方公共団体が発行する地方債に対して,現在格付会社の公表する格付けには,団体間に差が存在する。アメリカでは,地方公共団体が破綻した場合の債務調整(リスケや減額)が明確に制度化されており,地方債の信用力は当該団体の債務償還能力に等しい。信用保証を購入して高格付けにした上で起債をする団体もある。ドイツでは,格付会社によって州間の信用力の差についての意見が分かれている。日本の地方債の信用力をサポートする仕組みは,現状でも問題点が多く,さらに,昨今の三位一体の改革や地方分権の進展によって,将来的にこれらの仕組みが変更される可能性がないとはいえない。投資家にとっての信用力は,将来にわたり,例えば20年債が償還されるまで,不安が無いことである。 現在,地方債市場の環境整備が急速に進んでいる。財投改革の進展により,地方債の引受資金は政府資金から民間資金にシフトし,民間資金の調達場所である地方債市場の重要性は増している。2004年の地方債市場にもさらなる変化が予想される。しかし,地方債の信用力格差に対する発行体側と投資家側との共通認識の欠如は,おのずと投資家が必要とする情報開示の不十分さにもつながり,地方債市場を整備・育成していく上での大きな課題となっていると言えよう。

刊行年月日
2004年01月01日
著者/
研究者紹介
丹羽   由夏 (タンバ ユカ)
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2004年01月号 第57巻 第1号 通巻695号  28 ~ 43ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2004/01/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
キーワード
地方債,信用力,地方債市場
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0401re3.pdf  103.9KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1604.html