書誌情報
論題:マグロの流通と魚価形成
04.02.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- マグロの流通と魚価形成
- 要旨
-
マグロは,わが国の水産物で最大の商材とされる。その流通における最大の特徴は,冷凍マグロと生鮮マグロの流通経路の違いである。すなわち,冷凍マグロが市場外流通主体となっているのに対し,生鮮マグロは主に市場経由で流通している。
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冷凍マグロの流通においては介在するマグロ買付業者の役割が大きく,生鮮マグロの場合は消費地市場の役割が大きいということも特徴の一つである。とりわけ,流通量の8割近くを冷凍ものが占めるというマグロの流通においては,相対的にマグロ買付業者が重要
な地位を占める。
また,これら業者とマグロ船主との間で行われる「一船買い取引」も,冷凍マグロ流通における大きな特徴となっている。
産地価格においては,「生鮮まぐろ」を唯一の例外として水揚量とは無関係に価格形成が行われ,また,産地価格(国内生産価格)が輸入価格にさや寄せされる形でその価格優位性を失いつつある状況がある。
消費地価格においては,魚種によって違いがあるもののおおむね需給を反映した価格形成が行われており,従来高価格域にあったマグロほど価格低下が著しい等の特徴もみられる。
産地市場と消費地市場におけるこうした価格形成の違いは,主として市場外仕入を行う量販店によってもたらされており,そのマグロ商材の定番商品化に起因するものとみられる。
さらに,拡大の続く養殖マグロ生産も高級マグロの需給関係に変化を及ぼしつつあり,量販店の「トロ」定番商品化の動きともあいまって,マグロの魚価形成はあらたな段階を迎えつつある。 - 刊行年月日
- 2004年02月01日
- 著者/
研究者紹介 -
出村 雅晴 (デムラ マサハル) : リサーチ&ソリューション第2部 専任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2004年02月号 第57巻 第2号 通巻696号 40 ~ 54ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):食品・フードシステム
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1610.html