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書誌情報

論題:地球温暖化問題における森林・林業の役割と現状-森林の環境保全機能の具体例としての森林環境税に触れながら-

04.03.01[ 更新10.06.18 ]

タイトル
地球温暖化問題における森林・林業の役割と現状-森林の環境保全機能の具体例としての森林環境税に触れながら-
要旨

地球温暖化の原因は,二酸化炭素をはじめとする温暖化ガスである。人類が産業革命以
降,石油,石炭,天然ガスなどの化石燃料を地中から取り出し,大量に燃やすことにより
温暖化ガスの濃度を急激に上昇させてきたことが温暖化の原因である。
 2002年の京都議定書の批准により,わが国は温暖化ガスの排出量を90年基準で,2008
~2010年の第一約束期間に6%削減することを約束した。しかし,そのうち3.9ポイント
もの多くを森林の二酸化炭素吸収機能に負っている。
00年度のわが国の温暖化ガスの排出量は,90年基準で8%の増加となっている。また,
01年度は90年基準で5.2%の増加(前年度比2.5%の減少)となっている。
わが国でも03年12月に二酸化炭素排出権の模擬取引が行われ,3日間で67件,45万5
千トンの売買が成立した。京都メカニズムが具体化しようとしている。
 森林の炭素吸収・貯留効果は,吸収量が世界トータルでは91億炭素トン/年の排出過剰
となっている。これは,焼畑等を中心とする森林破壊により,熱帯林で165億炭素トン/
年の排出過剰となっていることを原因とする。貯留量は,陸上炭素量のうち6,100億炭素
トンが植生のなかにあり,これは陸上の全生物体の89%である。
 日本の炭素吸収・貯留量は,吸収量が1,300万炭素トン,貯留量が14億炭素トンと試算
されている。
 日本の森林・林業は外材の輸入による価格低迷から,極度に収益性が悪化し,経営が成
り立たず,長びく林業不況のなかで,危機的様相を呈している。
 上記の危機的様相のなかで,手入れ・保全のなされない施業放棄林が増えている。また,
森林・林業の担い手の高齢化と減少のなかで境界の分からない森林が増えており,森林の
荒廃が進んでいる。
現状の手入れ・保全不足の状況では,京都議定書で見込んだ森林の吸収機能3.9ポイン
トの達成は難しく,2.9ポイント程度になる可能性があると農林水産省は警告している。
  このようななか,高知県と岡山県で森林税が決定し,市民や行政の森林・林業に対する
意識が,「森林の保護のために具体的に税を徴収・活用する」といった画期的な方向に踏
み出しており,森林・林業の公益的機能に確実に目が向けられるようになった。

刊行年月日
2004年03月01日
著者/
研究者紹介
秋山   孝臣 (アキヤマ タカオミ) :基礎研究部   主任研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2004年03月号 第57巻 第3号 通巻697号  32 ~ 51ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2004/03/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):林業
第二分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):環境
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0403re3.pdf  116.1KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1618.html