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書誌情報

論題:実需を起点とした野菜供給の課題-野菜の業務用需要への対応-

04.03.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
実需を起点とした野菜供給の課題-野菜の業務用需要への対応-
要旨

「食」の外部化の進展に伴い,食事そのものを外部から購入したり,サービスを購入する形態へ家計が変貌している。こうした変化は,業務用需要を拡大させ,野菜の供給構造にも大きな影響を及ぼしている。外食産業で形成されてきた野菜の調達形態は,惣菜・中食産業などにも導入され,「川下」の変化に対し,従来の供給体制では十分対応できない領域が拡大している。
業務用需要の拡大に伴い,生産から集・出荷,流通などの過程で,新たなサプライチェーンも形成されてきている。これは,系統組織が原則としてきた,無条件委託,一元集荷・多元販売,共同計算の仕組みとはかなり異なる性格を有している。こうした変化は,産地や卸売市場と実需者との間に介在する様々な主体に影響を及ぼし,業務用チャネルに結びつく流通を展開させている。
国産野菜は卸売市場流通を前提とした供給体制をとってきた。この仕組みは,かなり整備されたもので,食品スーパー等をチャネルとした生鮮ホール野菜の供給には効率的な流通形態といえる。しかし必ずしも外食産業など業務用ニーズを踏まえたものとはいえず,生産から消費に至る各段階で業務用野菜の供給体制の整備が急務となっている。
生産段階では契約出荷に対応した生産者組織の育成が不十分である。また,卸売市場流通が業務用需要にどう適合していくかという課題もある。特に,卸売市場を経由する実需者との契約取引は,相対取引の発展形態として青果卸売業者の仲介機能や卸売市場のインフラを活用する手法として有力な方法とみられる。また,実需者対応力の強化をはかるためには,直接販売事業の拡充に向けた体制整備が急がれる。
「食」の外部化の進展と業務用需要の拡大は,女性の社会進出や少人数世帯の増加といった構造的要因に基づく構造変化といえる。実需者ニーズは,より利便性や簡便性を求める方向にあり,食品スーパー等をチャネルとした生鮮ホール野菜の供給は,将来的に減少していくと見込まれる。国産野菜の業務用需要への対応は,組織的課題として実需者まで見据えた販売・供給体制の構築に取り組む必要がある。

刊行年月日
2004年03月01日
著者/
研究者紹介
鴻巣   正 (コウノス タダシ) : リサーチ&ソリューション第2部   専任研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2004年03月号 第57巻 第3号 通巻697号  2 ~ 13ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2004/03/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):食品・フードシステム
キーワード
食料政策,食品産業政策,青果物流通,農商工連携,外食産業
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0403re1.pdf  79.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1619.html