1. TOP
  2. 刊行物
  3. 農林金融
  4. 論題:地域経済の低迷と再生に向けた金融機関のあり方-地域再生への金融機関と農協系統の役割を探る-

書誌情報

論題:地域経済の低迷と再生に向けた金融機関のあり方-地域再生への金融機関と農協系統の役割を探る-

04.04.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
地域経済の低迷と再生に向けた金融機関のあり方-地域再生への金融機関と農協系統の役割を探る-
要旨

地域経済は,90年代,比較的高い成長を示し都市圏との格差を縮小したが,2000年代に入って都市圏が,人口・雇用などマクロの指標で回復を示しているのに対し依然低迷を脱するに至っていない。これは,生産拠点の海外シフトにより雇用機会が減少し,少子高齢化が進んでいるにもかかわらず,これに即応した経済のサービス化などに遅れをとっていること,財政面の収支悪化の影響をより大きく受けていること,等の事情による。こうした地域経済の不振は,地域銀行の経営にも影響を及ぼしており,97年以降,全体として収益基調が悪化傾向をたどるなかで,不良債権処理も足踏み状態である。総じて地域内でトップシェアを擁する地銀と2位以下の中小金融機関の業況は二極化し,中小金融機関では公的資金援助により業態を超えた再編が進み,金融機関数は大幅に減少している。05年度からのペイオフ全面解禁を控え,金融当局は経営安定に課題を残す地域金融機関を念頭に置き,①合併を慫慂するねらいの予防的公的資本注入の仕組みを導入し,セーフティネットを整えると同時に,②証券仲介制度実施と平仄を合わせて窓口での証券売買など預貯金流出の受け皿拡充を認め,収益機会を準備して側面から支援する姿勢。地域金融機関でも,「地域と金融」の一体再生を通じて不良債権処理を進めるリレーションシップ・バンキングの考え方の下で,当面,中小企業の過少資本をカバーする債務の株式化や劣後債化等の新たな金融手法を駆使,また地域内での企業再生ファンド組成に取り組むなど再生ビジネスを積極化している。地域経済の活性化には,自然や歴史を含め地域の持つ種々の資源をフル活用して快適な居住環境と雇用機会を創っていくことが前提となるが,地域に関する豊富な知識・情報と人材を抱えた金融機関の果たす役割は大きい。こうしたなかで地域での存在感の増している農協系統は,①農業・食料など地域産業育成,②地域住民への広範な金融関連サービスの提供などの面で重要な役割を担っていくことが期待される。

刊行年月日
2004年04月01日
著者/
研究者紹介
荒巻   浩明 (アラマキ ヒロアキ) : リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2004年04月号 第57巻 第4号 通巻698号  2 ~ 17ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2004/04/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
キーワード
地域金融,地域経済
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0404re1.pdf  184.0KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1625.html