書誌情報
論題:青果物取引の相対化と価格形成の課題-卸売市場流通の諸原則を考える-
04.09.01[ 更新10.09.03 ]
- タイトル
- 青果物取引の相対化と価格形成の課題-卸売市場流通の諸原則を考える-
- 要旨
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スーパーにおける青果物の取扱いは,標準化やマニュアル化が進んでおり,機能的で計画的なオペレーションがおこなわれている。こうしたスーパーの日常的な仕入や店舗配送等のニーズが卸売市場流通に大きな影響を及ぼし,青果物取引の相対化や商物一致原則の緩和,転送の増加等を推し進めた。 青果物の基幹的流通においては,周年を通じた安定調達,数量の確保,効率的な配送・物流が必要である。こうしたニーズは,主として卸売市場の物流,決済,情報処理機能等を通じて実現しており,相対取引を基軸としておこなわれている。実際におこなわれている相対取引の態様は各市場により異なるが,現実的必要から慣行的に形成されてきた。
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卸売市場で実現している価格は,全体としては平準化傾向にあるが,地域性や市場の性格などにより相違がある。特に主要消費地市場における主要品種の平均価格が青果物の価格形成に与える影響が大きい。青果物の価格形成において大消費地圏の中央卸売市場と主要産地の役割が大きくなっている。
相対取引は実需者ニーズに対応した取引方法といえるが,価格の決定過程や取引の透明性が確保されないという課題が指摘されてきた。こうした欠点を克服するため,入荷情報による入札取引や前日情報せり等様々な試行・実験もおこなわれているが,決定的な方法の確立に至っていない。また青果物取引のEDI化・取引電子化は重要な課題でありモデル事業も進められているが,価格形成がビルトインされているとはいえない状況にある。
相対取引の公平性や透明性,公開性の確保のためには一層の情報開示が求められる。また,消費地市場と共に主要産地の役割が極めて大きく,指標銘柄や指標市場の充実が必要である。卸売市場における価格形成は,系統共販や卸売市場流通の諸原則にかかわる本質的課題を内包しており,組織的にも思い切った構造改革への挑戦が求められる。 - 刊行年月日
- 2004年09月01日
- 著者/
研究者紹介 -
鴻巣 正 (コウノス タダシ) : リサーチ&ソリューション第2部 専任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2004年09月号 第57巻 第9号 通巻703号 22 ~ 33ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):食品・フードシステム
- キーワード
- 野菜政策,青果物流通,青果物取引,市場外流通,経済事業改革
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1665.html