書誌情報
論題:漁業系廃棄物処理の現状と課題-魚類残滓のリサイクルを主体に-
04.11.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- 漁業系廃棄物処理の現状と課題-魚類残滓のリサイクルを主体に-
- 要旨
-
漁業系廃棄物としては,魚類残滓を主体とする水産系残滓のほか,漁船に使用されるFRP,あるいは魚箱等に利用される発泡スチロールが大きな比重を占めるものと思われる。本稿では,魚類残滓のリサイクルの現状と課題を中心に整理し,その他の漁業系廃棄
VIEW MORE CLOSE
物については現状の概観にとどめる。
FRP船については,これを中心とする不法投棄廃船が社会問題となっている。しかも,今後一層の増加が予想されるなど,制度面も含めたリサイクル方法の確立が緊急の課題となっている。また,発泡スチロールのリサイクルについては,水産物の市場流通を前提に
したシステムが一定程度機能しているが,今後,市場外流通の増加等流通の変化に対応した回収システムへの転換が課題になるものと思われる。
魚類残滓のリサイクルにおいては,DHAやEPAなどの脂質の利用や,あるいはコラーゲンやコンドロイチン等の有用成分の利用等,新たな取組みもみられるが,概して十分な市場規模を確保するに至っていない。相対的に高いとされる生産コスト等の課題克服には,
まだ時日を要する現状にある。
フィッシュミール加工が魚類残滓のリサイクルにおいて大きな比重を占めるが,消費地立地の事例を主体に,採算確保が大きな課題となっている。一部加工産地等では,原料の鮮度や同一魚種で比較的まとまった量という原料事情を生かした対応も考えられるが,一般には厳しい状況にある。設備運営上の問題も指摘されるが,基本的には商業ベースでの経営成立は現状では困難となっている。
魚類残滓のリサイクルにおいては,有用成分活用における生産コスト問題等,諸課題に対応する技術開発を含め,処理対象残滓の内容や発生状況,あるいは成分組成に合わせた回収・処理システムの構築が課題といえよう。 - 刊行年月日
- 2004年11月01日
- 著者/
研究者紹介 -
出村 雅晴 (デムラ マサハル) : リサーチ&ソリューション第2部 専任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2004年11月号 第57巻 第11号 通巻705号 54 ~ 68ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):水産業
- 第二分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):環境
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1679.html