書誌情報
論題:再び改革を加速した中国農政-食糧増産,直接支払い,農村行政体制改革を中心に-
04.12.01[ 更新10.12.03 ]
- タイトル
- 再び改革を加速した中国農政-食糧増産,直接支払い,農村行政体制改革を中心に-
- 要旨
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1 中国農政は,2004年に再び改革を加速した。背景には,農家の所得低迷と都市住民との所得格差が経済の持続的発展及び社会の安定を揺るがしかねない状況に至っていること,03年末から食糧市場価格の上昇により食糧供給に対して不安の声が強まったことがある。
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2 農政改革の一つは,直接支払いの導入である。農家の所得を支持しながら食糧流通体制の改革を促進するために動き出したが,食糧市場価格の上昇により,食糧増産が現行中国における直接支払いの最大の目的になっている。直接支払いは,中部地域の13の主要食糧生産地に集中して実施しているが,統一した基準はなく,各地はそれぞれの方法で経験を蓄積している段階にある。
3 農政改革のもう一つは,農業税の減免である。第一段階である00~03年の農村税費改革を通して農業税が大幅に軽減したものの,他の産業に比べると依然として重い。04年には黒龍江省と吉林省の農業税廃止,その他の主要食糧生産地の農業税率3%削減,5年以内の農業税全面的廃止といった改革に入った。
4 農業税廃止の改革を先行している黒龍江省では,郷鎮政府の財政はそれによって崩壊し,郷鎮政府の大幅縮小及び統廃合という農村行政体制改革は避けて通れなくなった。将来的な郷鎮の自治的対応に向けてスタートを切ったと言えよう。
5 特に直接支払いが奏効し,04年は豊作の見通しである。次に懸念すべきことは,豊作後の食糧市場価格の下落であり,それによる農家の収入減は,直接支払額よりはるかに大きくなる可能性がある。そして,食糧増産と農家所得増の同時達成が現行中国の直接支払手法によっては難しいことに留意する必要がある。少なくとも,今年のような過度な食糧生産の刺激策は見直す必要があろう。 - 刊行年月日
- 2004年12月01日
- 著者/
研究者紹介 -
阮 蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) :基礎研究部 副主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2004年12月号 第57巻 第12号 通巻706号 61 ~ 80ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- キーワード
- 中国農政,農業税の廃止,直接支払,主要食糧生産地,農政改革
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1692.html