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書誌情報

論題:個人向け国債と個人向け地方債-ペイオフ凍結解除と個人預貯金からの資金シフト-

05.04.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
個人向け国債と個人向け地方債-ペイオフ凍結解除と個人預貯金からの資金シフト-
要旨

ペイオフ凍結解除に伴う家計の金融資産保有への影響を考えると,複数の金融機関に分散させることや,格付けの良い金融機関などに預け替えすることは従来から考えられる手法であるが,普通預金等から他の商品への資金シフトを念頭においた場合,ペイオフ対策の金融商品としては,決済用預金や個人向け公共債があげられるであろう。個人向け国債および地方債は,近年好調な売れ行きが報告されている商品である。「個人向け国債」の毎回の販売額には金利が大きく影響している。また,郵貯の国債窓販でみるように,個人は将来の金利上昇を見込んで固定金利より変動金利という商品に魅力を感じていた。また,テレビコマーシャルなど積極的な活動を行っている証券会社の「個人向け国債」の販売額が大きいことから,「個人向け国債」の購入には金融機関の積極的なアプローチ,認知度の向上がかかわっている点も指摘できる。「ミニ公募債」は,購入者が金融商品としての魅力以上に,地域へのロイヤリティーを動機として持っていると言える。これは,行政参加意識と言い換えることもできるかもしれない。また,初めて債券を購入しようと考える個人には,身近な地元商品として,受け入れやすさがあるようである。さらに,話題性や発行額が限定されていることから生じる希少性なども購入動機となっていると推察される。現在は,預貯金金利の低さという金融環境が追い風となっていることは明らかであり,個人向け公共債の安定的な投資家として,また今後の拡大する公共債の受け皿として個人を期待するのであれば,繰り返しの購入,あるいは購入層が拡大する形で個人保有は進展していかなければならない。他方では財政負担という面もあり,どのように長期的に個人のニーズをとらえていくかが大きな課題である。「ミニ公募債」においては,行政参加が購入動機にあるが,「ミニ公募債」も市場公募債も償還財源は同じ将来の住民の税である。住民,個人投資家への説明責任が重要視されるべきである。今後の金利動向や金融機関の積極的な取組みによる認知度の高まりによっては,個人の公共債投資は大幅に増加していくかもしれないが,現在発行体である国および地方公共団体に求められている課題は,長期的に売れる商品と利便性なども含めた環境づくりであると考えられる。

刊行年月日
2005年04月01日
著者/
研究者紹介
丹羽   由夏 (タンバ ユカ)
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2005年04月号 第58巻 第4号 通巻710号  2 ~ 13ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2005/04/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
キーワード
ペイオフ凍結解除,個人向け国債,ミニ公募債
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0504re1.pdf  198.0KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1721.html