書誌情報
論題:韓国における食品消費動向
05.07.01[ 更新10.09.03 ]
- タイトル
- 韓国における食品消費動向
- 要旨
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1 韓国社会の食品消費に関係すると思われる特徴は,①人口のソウル首都圏一極集中,②高学歴化,③核家族化の進展,④アパート(韓国特有の高層マンション)居住者の急増,⑤国民間の所得格差,⑥贈答文化,といったところに要約されるものと考えられる。
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2 韓国では,一人当たりGDPは1万2千米ドル強(2003年)と日本の約40%の水準にあるものの富裕層,中間層が台頭してきている。核家族化の進展や女性の社会進出と共働き世帯の増加等によるライフスタイルの変化は日本と同様に生じてきており,これに伴って消費構造も変化してきている。また,家計の平均食料品費水準は日本の83%に近接している(世帯構成員数で補正すると71%)。
3 韓国では,消費生活の近代化,洋風化と同時に,日本の消費文化への親近性も同時に観察される。長い歴史のなかで独自の「日式」食文化が定着したのとは別に,現代日本風の消費文化が若年層を中心に評価を得て,日常消費生活のなかに取り込まれていく傾向がある。ことに日本製の加工食品への評価は高く,洋風・日本風調味料,菓子類は需要が拡大している。
4 韓国では,ソウルオリンピック(1988年)ごろを起点にして食生活の変化が生じ始め,ワールドカップ(2002年)以来の2年間で急速に多様化・高度化してきたと言われる。主婦年齢38歳(1967年生まれ)ごろを境にして,韓国伝統食からの解放度が高くなるとも言われ,夕飯の形態も多皿式韓国食から,日本と同様の食生活への変化も見られてきている。また,ライフスタイルの変化等は外食産業の成長をもたらしている。
5 家計や個人の食品消費動向に関する諸統計から見ても,韓国トータルではまだ米飯とキムチによる伝統的食生活がその大宗を占めていると推察されるものの,近年動物性たんぱく質と脂肪の摂取量が増加しており,はっきりとした変化の兆しが現れている。
6 果実類,果菜類,米の購入先では富裕層を中心に百貨店やディスカウントストア(日本の総合スーパー)の割合が高まっており,富裕層では購入時の選択基準がブランドから実際の「味・糖度」に移っているのが注目される。 - 刊行年月日
- 2005年07月01日
- 著者/
研究者紹介 -
藤野 信之 (フジノ ノブユキ) :基礎研究部 主席研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2005年07月号 第58巻 第7号 通巻713号 26 ~ 41ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- 第二分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):食品・フードシステム
- キーワード
- 韓国,食品,キムチ,食品消費,ライフスタイル,日本食
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1743.html