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書誌情報

論題:米国地域金融機関の個人リテール戦略-現地訪問で垣間見た米銀の素顔-

05.08.01[ 更新10.09.03 ]

タイトル
米国地域金融機関の個人リテール戦略-現地訪問で垣間見た米銀の素顔-
要旨

米銀は,「M&Aで規模を拡大し,大胆なリストラで経営効率を高め,利ざやが厚い個人ローンを積極的に伸ばし,順調に収益を増加させている」という印象が強い。確かにそういう側面もあるが,現地訪問で垣間見た米銀の素顔は,やや違うものであった。各行はいずれも,顧客に対して他行では得られない独自のメリットを提供することで,現在順調に業容を伸ばしている銀行であった。金融機関は個人リテール戦略の拠点である店舗の拡充に力を入れてきたが,店舗戦略の重点は,地域での取引シェアを高めることであった。しかし店舗は設置・運営コストが高いため,小規模金融機関はお互いの支店を共有するブランチ・シェアリング制度を活用している。また低コストのデリバリー・チャネルとして,インターネットの活用が注目された。一時のインターネット・バンキングに対する過剰な期待はなくなった。しかしその一方で,インターネット・バンキングがよく活用される分野や利用者層に関する分析が進み,その役割が再認識されるようになった。その過程において,店舗の役割も改めて見直されることとなった。すなわち,行員が顧客との情報交換やセールスを行う場としての機能が,より前面に押し出された。個人リテール市場は,金融機関だけでなくノンバンクも加わった混戦状態である。こうした競争環境を踏まえると,他行横並びで同じような商品・サービスを大差ない価格で提供するビジネスの展開は難しくなる。他行にはない何らかの個性発揮により顧客に自らを印象づけ,支持を得る必要がある。多くの銀行は,収益追求のため規模拡大による効率性向上を指向しているが,その一方で毎年数多くの顧客を失っている。これに対して最近,顧客の取引期間の長期化,すなわち顧客維持力を強化している銀行が現れている。成功している個人リテール戦略に共通してみられる特徴は,顧客に対して明確に識別できる他行では得られないメリットを提供していることであり,これが経営理念として定着していることである。戦略は現場からの情報を積み上げたうえで策定されないと,金融機関が地域から遊離してしまう。経営者の意図が現場に浸透し,現場の情報が経営者にスムーズに流れるフィードバックの仕組みを,うまく機能させる必要がある。

刊行年月日
2005年08月01日
著者/
研究者紹介
永井   敏彦 (ナガイ トシヒコ)
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2005年08月号 第58巻 第8号 通巻714号  40 ~ 52ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2005/08/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外経済
キーワード
個人リテール戦略,個人ローン
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0508re4.pdf  83.2KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1751.html