書誌情報
論題:企業の社会的責任(CSR)について-思想・理論の展開と今日的なあり方-
06.09.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- 企業の社会的責任(CSR)について-思想・理論の展開と今日的なあり方-
- 要旨
-
1 近年,わが国でも,企業の社会的責任(CSR)の考え方が急速に広がっているが,
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CSRをめぐる思想および理論的枠組みは,長年にわたって多くの論者によって提供され
てきた。バーリーとミーンズは,20世紀に入って株式会社の所有と経営の分離が進み,支
配力を得た経営者に対する要請として社会的責任が生じたと論じ,ドラッカーは社会のリ
ーダー的存在として企業のマネジメントには社会的責任が求められるとしながらも,能力
や権限との対比から責任の限界も唱える。キャロルは経済的責任を基盤として法的責任,
倫理的責任,フィランソロピー的責任が一体となった「CSRのピラミッド」モデルを示
す。
2 一方で,CSRを否定する議論も根強く存在する。新自由主義の重鎮であるフリードマ
ンは,企業の社会的責任は利潤を増大させることに尽きるのであり,「他人の金」を使う
ような社会的責任は否定されるべきであると主張する。一方で,反新自由主義・反グロー
バリゼーションを唱える陣営からは,企業は元来「無責任」な存在であるという見方に立
った批判が行われる。
3 伝統的には,利益還元の形で遂行されてきた感があるCSRだが,近年では財務的にも
非財務的にも企業価値の向上につなげることが意識されるようになってきている。この場
合,CSRは企業の本業と結びつけて遂行されることになり,わが国においてもそうした
取組みが多く見られるようになってきている。本業に結びついた形でのCSRは,企業内
の共感や動機の強化,また取組みの継続性をもたらし,さらには責任限界論や否定論への
有効な対応策であるとも考えられる。 - 刊行年月日
- 2006年09月01日
- 著者/
研究者紹介 -
橘髙 研二 (キッタカ ケンジ) :調査第二部 主席研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2006年09月号 第59巻 第9号 通巻727号 2 ~ 11ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1855.html