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論題:水産物産地市場の現状と課題

07.03.01[ 更新10.06.18 ]

タイトル
水産物産地市場の現状と課題
要旨

一般に漁港に水揚げされた水産物は,漁協の販売事業,なかでも漁協が開設・運営する産地市場を通じて販売されており,こうした事情を反映して漁協開設市場が産地市場数の81%(取扱量ベースでは57%)を占めるなど,産地市場問題イコール漁協市場問題ともい
える状況にある。
 産地市場の起点となる漁港での水揚状況をみた場合,沖合・遠洋漁獲物主体の漁港では水揚げの減少が顕著であるが,沿岸漁獲物主体の漁港での減少はそう大きくないなど,様相を異にする。このように,漁港等の特性によって産地市場における水揚量の減少程度に
は差があるが,魚価低迷は共通している。
  その背景の一つに産地市場における買受人の構造変化がある。大規模市場では出荷・加工買受人,一般市場では卸・小売・出荷買受人の役割が大きいが,概してこれら買受人の減少傾向が続いており,魚価形成上の問題となっている。そのため,こうした買受人機能
をどう補うかが大きな課題となっている。
  魚価の低迷は,産地市場に限らず消費地市場にも共通して起きている現象であり,産地市場の価格形成力が向上したからといってすべてが解決するわけではないが,当該市場に水揚げされる魚種等の用途・特性に合った買受人(あるいは同機能)の増強によって一定
程度の効果が期待できよう。こうした視点が,産地市場の機能強化や統合・再編問題を考える場合に重要となる。
 適当な買受人や加工業者の誘致が優先されようが,漁協においては販売事業の一環としての位置づけであり,困難な場合は他漁協,他業者との提携や単独実施も含めて考える必要があろう。当然リスクも伴うが,漁協合併も含めた耐性力の強化,人材確保も含めた体
制整備,あるいは組合員の理解を得る等,事前準備に万全を尽くした上での積極的な取組みに期待したい。

刊行年月日
2007年03月01日
著者/
研究者紹介
出村   雅晴 (デムラ マサハル) : リサーチ&ソリューション第2部   専任研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2007年03月号 第60巻 第3号 通巻733号  15 ~ 26ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2007/03/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):食品・フードシステム
第二分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):水産業
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0703re2.pdf  200.7KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1904.html