書誌情報
論題:野菜輸入の動向と課題
07.03.01[ 更新10.09.03 ]
- タイトル
- 野菜輸入の動向と課題
- 要旨
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1 近年野菜の輸入が漸増し,2005年では約300万トンと国内需要量約1,500万トンの21%を占めるに至っている。輸入野菜を形態別にみると,生鮮野菜が100万トン強で増加傾向が強く,次いで冷凍野菜が80万トン,その他がまとめて100万トン弱で,うちトマト加工品,その他調製野菜が増加傾向にある。
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2 輸入先国別にみると,中国からの輸入量が圧倒的に多く,全体の56.9%,165.4万トン(05年)を占めて増加傾向にあり,輸入野菜全体の輸入増の主因となっている。2位は米国の17.8%,51.7万トン(同)で,近年減少傾向にある。中国産野菜の価格競争力は強く,全体輸入単価を押し下げ,生鮮ブロッコリー,スイートコーン(その他調製野菜)では主力輸入先である米国のシェアを切り崩しつつある。
3 05年の生鮮野菜輸入量の上位10品目の価格を,国内卸売市場価格ベース(04年)で国産品と比較してみると,すべての品目で国産品の価格が上回っており,にんにくを除く9品目の単純平均で1.6倍となっている。
4 主要な輸入野菜は5品目とも近年(98~04年)輸入量シェア(=100-自給率(%))が上昇傾向にある。04年におけるシェアは,高い順にさといも(31.4%),たまねぎ(22.7%),ねぎ(12.6%),にんじん(11.6%),キャベツ(5.3%)となっている。
5 国内野菜の生産量は,82年の1,678万トン以降減少が続き,05年では1,248万トン(82年の74%)となった。これは,1人1年当たりの消費量の減少による需要減と,野菜輸入増,生産者の高齢化による規模縮小等が複合的に生じた結果となっている。
6 国内野菜販売農家の規模拡大は,徐々にではあるが進んでいる。一方,野菜販売農家の年齢層別の農業従事者割合の動向を見てみると,95年に28.5%だった65歳以上の割合は,00年には34.8%に上昇しており,高齢化と後継ぎ(農業後継者)不足が進んでいる。
7 野菜生産の低コスト化はいずれの産地においても避けて通れない課題であり,そのためには,機械化の一層の推進等が必要なものと考えられる。しかしながら,輸入産品との価格差は非常に大きく,国内産品は鮮度や「安全・安心」を中心とする国産プレミアムを確保しつつ,加工・業務用需要へも的確に対応していく必要がある。 - 刊行年月日
- 2007年03月01日
- 著者/
研究者紹介 -
藤野 信之 (フジノ ノブユキ) :基礎研究部 主席研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2007年03月号 第60巻 第3号 通巻733号 2 ~ 14ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):国内農業
- 第二分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):食品・フードシステム
- キーワード
- 野菜,輸入野菜,中国,輸入,国内生産,業務用
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1905.html