書誌情報
論題:マグロの需給と価格形成をめぐる動向
08.03.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- マグロの需給と価格形成をめぐる動向
- 要旨
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世界のマグロ消費は刺身と缶詰に大きく分けられるが,わが国は主に刺身,海外は缶詰という消費上の特徴がある。海外での刺身消費も拡大傾向にあるが,ここ数年という期間で考えれば,刺身消費の大半をわが国が占めるという状況に大きな変化はないであろう。
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刺身向けマグロの供給量は,脂身マグロの増加,赤身マグロの減少という内容的な変化を伴いながらも,わが国生産量の減少を輸入が補う形で増加し,おおむね50万トン前後で推移している。とはいえ,現時点での供給量減少は限定的だが資源状況は厳しく,将来的にはいっそうの減少が見込まれる。
一方需要面では,依然マグロ人気の高さはみられるものの,2003年以降減少傾向にある生鮮魚介類支出への連動性が高まるなど,変調の兆しもみえる。
90年代前半の急速な低下を経て,90年代後半以降弱含み推移となっていたマグロの消費地価格は,直近では脂身マグロ上昇,赤身マグロ弱含みという新たな兆候をみせている。
脂身マグロの価格上昇は卸売数量の減少を反映したものだが,台湾船減船あるいは燃油高騰を受けた休漁の増加等を背景に,今後供給量の減少が具体化する赤身マグロにも波及するかどうかが注目される。
家計支出や水産物消費,あるいはマグロ消費の現状に照らせば,脂身マグロについては一定程度の価格上昇余地はあろうが,赤身マグロに関しては厳しい状況が続こう。
水産物は再生産可能な天然資源であり,食料として貴重である。水産物全般に,燃油の高騰等による漁業生産コストの上昇が魚価に反映しない状況が続いているが,食料確保の視点からも,持続的な漁業生産が可能となる魚価形成に期待したいものである。 - 刊行年月日
- 2008年03月01日
- 著者/
研究者紹介 -
出村 雅晴 (デムラ マサハル) :基礎研究部 専任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2008年03月号 第61巻 第3号 通巻745号 34 ~ 46ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):食品・フードシステム
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1994.html