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書誌情報

論題:世界最大の農産物輸出国に向かうブラジル-セラード開発と穀物メジャーの役割を中心に-

08.09.01[ 更新10.09.06 ]

タイトル
世界最大の農産物輸出国に向かうブラジル-セラード開発と穀物メジャーの役割を中心に-
要旨

1 ブラジルは,1990年代後半からの輸出急増で2005年に農産物輸出国のトップ5に入った。農産物純輸出額では2001年にフランスを抜き世界トップへ浮上し,上昇を続けている。これは,ブラジルの農産物輸出構造がコーヒー等伝統的な品目から,所得弾力性の高い大豆や食肉へシフトしたこと,これらの商品に対する中国やロシアなどの需要が大きかったことと深く関係している。
2 ブラジルの農産物輸出が急増した最大の要因は,セラードという広大な未開拓の土地があり,その土地を農耕適地に転換させる技術と種子を農牧研究公社によって開発したことである。こうした基礎要件を現実の生産と輸出拡大につなげるには,90年代の経済自由化改革によりブラジルの農業領域に全面的参入してきた穀物メジャーの役割が大きかった。
3 具体的には,主として穀物メジャーがパッケージ融資を通して大規模農家の資金不足と販路問題を同時に解決した仕組みの提供である。すなわち,化学肥料など使途を限定した生産資材資金を融資し,返済はまだ作付けしていない生産物を担保に収穫後に返済する先物取引の手法をとっているケースが多い。返済価格はCBOTの先物価格をベースにして事前に決める。この借金と現物返済の契約は農家が発行する農産物証券(CPR)に化体する。
4 もちろん,ブラジルでは穀物メジャーなど巨大な外資が自国の農業の根幹を押さえることに対して経済面だけでなく,安全保障面でも危惧を持つ政治家は少なくない。穀物メジャーの影響力膨張に不安を感じる農家も多い。政府の融資金利は8.75%であるのに,穀物メジャーのパッケージ融資の実効金利は高い市中金利に近いケースが少なくなく,農家が外資に利益を吸い上げられているとの懸念もある。
5 だが,ブラジル農業は,世界で最低水準の政府助成のもとでも急速な発展を遂げ,外貨不足のブラジル経済に大きく貢献してきた。今後,世界最大の農産物供給国に向かうブラジルでは,穀物メジャーのかかわりがさらに深まるとともに,中国,日本を含むアジアのブラジルへの食料依存もさらに高まる可能性が高い。日本にとって,ブラジルとどのような関係を構築するかが新たなテーマとなってくるだろう。

刊行年月日
2008年09月01日
著者/
研究者紹介
阮   蔚(Ruan Wei) (ルアン ウエイ) 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2008年09月号 第61巻 第9号 通巻751号  3 ~ 17ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2008/09/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):海外農業
キーワード
ブラジル,農産物輸出,穀物メジャー,セラード,大豆輸出,中国
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0809re1.pdf  175.2KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2044.html