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書誌情報

論題:協同組合の独禁法適用除外問題についての一考察

10.06.30[ 更新10.09.06 ]

タイトル
協同組合の独禁法適用除外問題についての一考察
要旨

1 協同組合の独禁法適用除外問題は,法制度的にも独禁政策と協同組合政策との接点に位置する問題であり,規制緩和の視点からの形式論的な議論で片付けられる問題ではない。
2 わが国の範となったアメリカのカッパー・ボルステッド法における農業協同組合等の行為についての反トラスト法の適用除外は強力であり,EUにおいても例外ではない。
3 協同組合の独禁法適用除外は,有効な競争単位の形成にあるのではなく,協同組合の行為が一定の取引分野における競争を実質的に阻害することを当然の前提として認めた上で,協同組合の存在を認めた点にこそ意義がある。それは,また独禁法と協同組合法が,同じ経済法・社会法の分野で共存するために必要不可欠な制度的調整である。
4 農業協同組合および連合会の規模が大きくなり事業量も大きくなったといっても,農業協同組合の構成員は依然として小規模の農業者であり消費者であり,これらの者が農業協同組合,さらには連合会を通じて,共同の行為をすることによって規模の利益を享受するという意義は今日においても失われてはおらず,かかる規模の利益の確保と維持が,今日の農業協同組合の存続にとって必要である以上,独禁法第22条の意義は失われたということはできない。
5 協同組合の行為について独禁法の適用除外規定がなくても問題はないのではないかという発想は,逆転した発想であり,公共の利益の観点から適用除外になっていることに弊害があるのであれば,公共の利益の観点にたって,具体的なケースごとに,その具体的な弊害を実証的に明らかにすることが先決である。

刊行年月日
2010年07月01日
著者/
研究者紹介
明田   作 (アケダ ツクル) : 農林中央金庫JAバンク統括部主監
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2010年07月号 第63巻 第7号 通巻773号  2 ~ 13ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2010/07/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):その他
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1007re1.pdf  81.6KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/21.html