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書誌情報

論題:自己資本比率規制における規制基準についての一考察-地銀における国際統一基準と国内基準の並存の問題点について-

09.09.01[ 更新10.09.06 ]

タイトル
自己資本比率規制における規制基準についての一考察-地銀における国際統一基準と国内基準の並存の問題点について-
要旨

1 わが国の自己資本比率規制は,海外拠点の有無により国際統一基準と国内基準の2本立
ての枠組みとなっている。今次の金融危機発生を受けて自己資本比率規制に関する改善案
や補完的な規制案などが提唱されているなか,この2本立ての枠組みについて,改めて評
価し直すことは意義があると考える。
2 まず,国際統一基準と国内基準についての現状を説明し,要求される水準のほか算出方
法も相違していることを明らかにし,これまでの経緯も説明する。次に,規制としての包
括性の観点から想定される問題点を指摘し,以下の検討すべき仮説を提示する。
<仮説> 自己資本比率規制を海外拠点の有無によって国際統一基準と国内基準に分け
 ている現状は,本来ならば国際統一基準が適用されるべき銀行にまで規制の緩
い国内基準が適用されるような状況に陥る可能性がある。そして,規制の裁定
  とも言うべき銀行の行動すなわち規制の緩い国内基準を選択する銀行の行動も
          起こりうる。
3 上記の仮説を,地銀を対象にして検証する。検証は,①国際業務利益の業務純益に占め
  る比率,②Tier1 比率,③バーゼルⅡにおけるリスク計測方法(中間段階)の導入状況,④マ
  ーケットによる評価の各観点からの両基準行の比較,ならびに⑤基準変更時の格下げ状況
  の調査によって行う。
4 検証結果は,地銀において,海外拠点の有無によって規制基準を分ける意味は薄れてい
  る可能性および本来ならば国際統一基準が適用されても良い国内基準行が存在している可
  能性が指摘できるものであった。また,信用力が低下した地銀が規制の緩い国内基準を選
  択する行動すなわち規制の裁定につながる行動についても完全には否定できない結果であ
  った。したがって,上記の仮説は一定の範囲で支持されたと言える。

刊行年月日
2009年09月01日
著者/
研究者紹介
矢島   格 (ヤジマ イタル) : リサーチ&ソリューション第1部   調査第二部長
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2009年09月号 第62巻 第9号 通巻763号  26 ~ 37ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2009/09/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):海外金融
キーワード
金融規制,自己資本比率規制,バーゼルⅡ,国際統一基準,国内基準,地方銀行
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0909re3.pdf  96.5KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2131.html