書誌情報
論題:海外の主要な酪農・乳業組合の動向―ニュージーランド,デンマークの酪農・乳業組合の動向を中心として―
10.06.30[ 更新12.04.04 ]
- タイトル
- 海外の主要な酪農・乳業組合の動向―ニュージーランド,デンマークの酪農・乳業組合の動向を中心として―
- 要旨
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1 近年,経済新興国や石油産出国での急速な経済発展に伴う食生活の変化により,乳製品の世界的な需要が拡大しており,価格の高騰など不安定な状況が続いている。世界の主要乳業メーカーは,組織の統合や海外との連携を強めており,そのなかでは協同組合組織の乳業メーカーの統合等の取組みも進んでいる。本稿では代表的酪農国であるニュージーランドとデンマークの酪農・乳業組合の取組みを紹介する。
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2 ニュージーランドの乳製品の輸出量は世界の同輸出量の30%を占め,単一国では世界最大の乳製品輸出国である。ニュージーランドでは広い牧草地を利用し,年間を通じて放牧が行われ,流通飼料コストがかからず,施設費や労働費も低く抑えられるため,生乳生産コストは主要生産国のなかでも低く,世界市場において強い競争力を有する。
3 ニュージーランドの酪農,乳業の今日の発展は,「経済,農業の自由化」と,大規模酪農・乳業組合「フォンテラ」誕生の2つの構造改革によってもたらされた。フォンテラはニュージーランド最大の企業で,世界140か国に乳製品を販売し,日本は3番目に大きな得意先である。フォンテラは「フェア・バリュー・シェア」という独自の資本政策を持ち,組合員との意思疎通を円滑にするための機関を設けている。
4 デンマークの農業は家族経営が基本で,穀物や豆類を栽培し,これを飼料として酪農,養豚などが盛んに行われている。農業に対して厳しい環境規制があり,農地維持のための様々な規制がある。2000年にデンマークとスウェーデンの酪農・乳業組合が国境を越えて合併し,当時EU内では最大の酪農・乳業組合「アーラフーズ」が誕生した。
5 国内でも飼料作物の生産や,水田の畜産的利用として飼料用米や飼料稲の栽培の取組みが始まっており,こうした取組みを促進する政策を充実するとともに,酪農家への所得補償の十全な制度を確立する必要がある。さらに全国規模での生産者組合,農協系乳業プラント等の統合を進め,日本版の酪農・乳業組合の設立が必要ではないか。 - 刊行年月日
- 2010年07月01日
- 著者/
研究者紹介 -
本田 敏裕 (ホンダ トシヒロ) :基礎研究部 専任研究員 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2010年07月号 第63巻 第7号 通巻773号 36 ~ 47ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):海外農業
- 第二分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):海外協同組合
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/23.html