農林中金総合研究所

本稿では，2008年度下期と12年度上期に実施した同じ地方銀行，第二地方銀行（地銀）等10行への聞き取り調査をもとに，08年度以降の地銀等の農業融資の変化と現在の特徴を明らかにしている。
　地銀は農業経営体や農業関連業種への資金供給，経営支援を１つの事業領域と考えており，融資環境が厳しいなかで，融資先として引き続き農業法人を重視している。ここ数年，地銀の農業経営体向けの融資案件が増加し，融資ノウハウが営業店に蓄積されていることで，営業店が独自に行う農業経営体への営業活動が定着しつつある。
　また，ここ数年，地銀は農業経営体向け融資の営業体制を整備する段階を経て，経営支援を強化する段階へと進んでいる。現在実施している経営支援は販路開拓，農業法人設立支援等と様々である。地銀が経営支援に積極的になっている要因としては，経営支援により融資先の経営安定が期待でき，地銀にとっては融資先の経営安定により信用リスクの軽減が期待できること等が挙げられる。