農林中金総合研究所

12年4月の郵政民営化法等の改正により、今後の株式上場を前に日本郵政グループ経営体制固めが行われたが、同グループの事業や経営に公的な性格・役割をより課しつつ，政府の関与の長期存続が想定されうるようなスキームとなったことは問題である。一方、ゆうちょ銀行の貯金残高は、11年連続減少した後、12年度から小幅ながらも2年連続で増加に転じている。その実態は大都市圏を中心に下支えされたものであり、高齢化の進行する地方圏域では引続き不調という対照性が見られるが、主力貯金商品である「定額貯金」の商品競争力を踏まえれば、金利上昇に転じたときに、定額貯金へのシフト行動が生じる可能性がある。法改正により日本郵政グループの体制論議は一段落した感もあるが、個人の利用する地域金融に同グループをどのように位置付けるか。方向性やあるべき姿は今後も議論されるべき問題と思われる。