書誌情報
論題:高齢漁業者の操業実態と政策課題
15.06.01[ 更新15.06.01 ]
- タイトル
- 高齢漁業者の操業実態と政策課題
- 要旨
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1 直近の漁業センサス(2013年11月1 日実施)によれば男子自営漁業就業者約9 万人のうち65歳以上の者が48%,75歳以上だけで20%を占めている。彼らを沿岸漁業の周辺的存在としてではなく,その基幹的部分として重視しなければならない。
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2 彼らの引退年齢は70歳代後半に集中している。また100万円以上の水揚高を上げる経営体の割合は75歳以上でも約半数ある。漁業所得は国民年金と相まって高齢者の生活を支えており,生活保護への依存を回避する役割を果たしている。
3 後継者のいない高齢自営漁業者の大半は海上作業は単身で行っているが,陸上作業を含めれば夫婦協業が3 分の1 前後,二世代協業も13%前後存在しており,家業としての性格を残している。
4 彼らの操業実態は,本人の就業史と強く関連しており,①自営漁業で一貫してきた者,②雇われ漁業従事から親の引退前後に自営漁業者となった者,③漁業外で就業していた漁家子弟で定年後に漁業を始めた者,④外部から参入した新規漁業者の諸タイプがあり,それぞれに固有の特性を持つ。
5 漁家出身で漁業外の会社員生活を送ってきた者が定年後に自営漁業主業的になる事例が見られる。彼らの漁業参入には,本人が漁村居住を継続して漁村社会の一員として認められてきたこと,かつての小中学校の同級生など同年輩の漁業者が彼らの参入に協力したことなどが有効に作用している。
6 後継者を得られた場合にも解決すべき問題点がある。高齢の父親が主導権を取り続けることが後継者の自発性を損ないやすいこと,複数の後継者がいる場合の父親引退後の経営分割問題等が配慮すべき課題である。 - 刊行年月日
- 2015年06月01日
- 著者/
研究者紹介 -
加瀬 和俊 (カセ カズトシ) : 帝京大学 経済学部 地域経済学科 教授 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2015年06月号 第68巻 第6号 通巻832号 16 ~ 28ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):水産業
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/5667.html