書誌情報
論題:福島原発事故からの農業再生─復興「加速」論がはらむ問題点─
17.02.28[ 更新17.02.28 ]
- タイトル
- 福島原発事故からの農業再生─復興「加速」論がはらむ問題点─
- 要旨
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福島第1 原子力発電所事故で大きな打撃を受けた福島県の農業は,全体として見れば緩やかな回復過程にあり,既に事故前とそん色のない生産水準,価格水準を達成している作目や地域も少なくない。
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また,作物への放射性物質の影響は汚染防止対策や検査体制の確立によって大幅に軽減され,野生の山菜やキノコ類を除けば安全性が担保されていると言える。
しかし,事故の風化が進む一方で福島県産食品に対するいわゆる「風評被害」は根強く,流通過程での不利な扱いが固定化している面もみられる。
生産現場においても,避難指示区域や避難指示が解除された区域を中心に農業者の帰還,担い手の確保,農地や水利施設の復旧と保全,鳥獣害,新作物・新技術の導入などさまざまな課題がある。
原発被災地の農業再生を達成するには,これらのハードルを一つ一つ取り除く息の長い取組みが必要である。行政や農協など関係機関が有機的な連携態勢を構築し,地域そのものの復興と一体で取り組んでいかなければならない。
政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックを一つのゴールに据え,復興を「加速」する姿勢を鮮明にしているが,当事者を置き去りにしない「人間の復興」こそが求められよう。 - 刊行年月日
- 2017年03月01日
- 著者/
研究者紹介 -
行友 弥 (ユキトモ ワタル) : 特任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2017年03月号 第70巻 第3号 通巻853号 2 ~ 19ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):農林水産業・食品・環境 (詳細区分):国内農業
- キーワード
- 福島,原発事故,放射性物質,風評,避難指示,営農再開
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/6269.html