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書誌情報

論題:農地集積が土地改良区に与える影響に関する考察

19.07.31[ 更新19.07.31 ]

タイトル
農地集積が土地改良区に与える影響に関する考察
要旨

農地集積が土地改良区に与える影響に関しては、組合員の等質性の低下に伴う合意形成の困難化等の問題が広く指摘されており、議論が活発化しつつある。一方で、農地集積は、組合員=耕作者とする土地改良法上の耕作者主義が原則どおりに貫徹している土地改良区に対して、組合員の絶対数の減少という仕方でも変化をもたらす。組合員数の減少は、土地改良区の運営・存続それ自体にかかわる問題であり、その意味で土地改良を巡る諸問題を規定する問題と言える。これは、土地改良法上の耕作者主義にかかわる問題でもある。
本稿では、第一に、土地改良法上の耕作者主義を巡る法状況を確認した。特に、耕作者主義の建前と農林水産省が提示した運用方針の間に齟齬がある点を端緒とし、農地政策上の要請の結果発生した耕作者と所有者の不一致が、土地改良区の組織基盤にかかる問題の法制度上の基礎となっていることを指摘した。第二に、営農・利水に関連する具体的な課題群につき、主に農業農村工学分野における先行研究を素材に整理を行った。第三に、農地集積の結果、土地改良区の組織維持が問題になった事例を取り上げ、理論的に想定される問題は既に現実において生じていることを確認した。第四に、ここまでの論述を踏まえ、土地改良区を通じて耕作者に着目することは、裏を返せば農地所有者の地位・機能に目を向けることと同義であることを指摘し、担い手論に傾斜しがちな近時の論調を相対化する端緒となると論じた。

刊行年月日
2019年08月01日
著者/
研究者紹介
亀岡   鉱平 (カメオカ コウヘイ) : リサーチ&ソリューション第2部   主事研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2019年08月号 第72巻 第8号 通巻882号  2 ~ 19ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2019/08/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):国内農業
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1908re1.pdf  975.8KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/7652.html