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書誌情報

論題:土地改良区の組合員制度問題─議論動向からの考察─

22.06.30[ 更新23.11.24 ]

タイトル
土地改良区の組合員制度問題─議論動向からの考察─
要旨

農地集積の進展と農業構造の変化は、土地改良区の組合員制度問題を惹起している。ここで言う問題とは、現実の耕作者には必ずしも組合員としての地位は与えられず、一方で地域農業の担い手としての地位は必ずしも高くない所有者が組合員の大宗を占めてしまうという所有と利用のズレのことである。このズレは、農地の耕作者と所有者の利害の対立を生じさせ、土地改良区内における合意形成を困難にし、地域営農の維持に必要とされる土地改良事業の停滞をもたらすと危惧されている。そこで、この不具合を是正するための議論として、土地改良区の組合員制度の見直し論が近年まとまって提起されている。
本稿では、以上のような議論動向に着目し、その内容について分析を行った。第一に、現状にそぐわないとされる戦後土地改良区像を「土地改良区の原初モデル」と捉え、等質性・自作農主義を意味する耕作者主義・平等主義・村々組合といった特徴を析出した。第二に、見直し論として、①面積要件付加論、②従量制への移行論、③下部組織の再編論を取り上げ、それぞれの内容と特徴を整理した。第三に、組合員制度や改良区運営に関連する土地改良法改正の動向を取り上げ、その内容を整理した。第四に、経済学をベースとしている見直し論を相対化するために、法学の視点を援用し、原初モデルは民主的自治や人権としての財産権といった規範的価値を内包しており、このような価値に目を向けることは現在も必要とされていることを指摘した。最後に、現実の土地改良区は相当に多様であり、特定の見直し論で全て説明しきれるわけではなく、個々の土地改良区による自己決定が重視されるべきであると主張した。

刊行年月日
2022年07月01日
著者/
研究者紹介
亀岡   鉱平 (カメオカ コウヘイ) : リサーチ&ソリューション第2部   主事研究員
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2022年07月号 第75巻 第7号 通巻917号  24 ~ 41ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2022/07/
第一分野
(大区分):農林水産業・食品・環境  (詳細区分):国内農業
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n2207re2.pdf  743.5KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/8955.html