農林中金総合研究所

オランダ企業は、サステナビリティ戦略の先駆者として国際的に注目される一方、政策、消費者動向、司法の関与などの社会環境変化により、更に高度な戦略への転換を迫られている。オランダを代表するソーシャルエンタープライズであるトリオドス銀行とトニーズチョコロンリー（チョコレート会社）の事例からは、オランダ企業のサステナビリティ戦略は「個別・先行的な試行が広く許容されるステージ」から、「より統合的なアプローチで結果を伴う継続的なインパクトが厳しく求められるステージ」への転換点にあると考えられた。今後はオランダが先行するサーキュラーエコノミーにおける、リサイクル、シェアリング等のビジネス戦略が、企業価値向上に向けた統合的なアプローチとして注目されるだろう。まとめとして、日本における多様な組織での社会的課題への取組みへの関心とそれを裏付けるガバナンス等、社会的責任と経済的持続性を両立する経営に向けた提言を行う。