農林中金総合研究所

1999年の食料・農業・農村基本法（以下「基本法」という）に基づいて2000年から作成されてきた食料・農業・農村基本計画（以下「基本計画」という）は、20年で5 回目の作成を迎えた。新たな基本計画は、農業の成長産業化に重点を置いた15年の基本計画を踏襲しつつも、生産基盤の弱体化や中山間地域のコミュニティの縮小に対応すべく、農業・農村の次世代への継承を全面に打ち出すことになった。
そこで本稿の前半では、前回の基本計画のもとで進められてきた農業の成長産業化の動きを政府の政策動向から確認し、そのうえで20年の農林業センサスを用いて縮小および再編が顕在化している農業および農村の実態を確認したい。
後半では、20年の基本計画がどのような農業構造を展望しているのかを確認したうえで、それが農業・農村の縮小という課題を克服する内容になっているのかについて、基本法との関係も踏まえて検討し、今後の基本計画で必要となる枠組みについて提示したい。