書誌情報
論題:わが国金融システム改革の流れと金融再生への課題-「市場型金融システム」と系統金融の方向-
99.07.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- わが国金融システム改革の流れと金融再生への課題-「市場型金融システム」と系統金融の方向-
- 要旨
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内外の環境に即応し切れなくなった銀行貸出中心のわが国金融システムを,市場型金融に転換することによりリスクを広く分散し,金融仲介機能強化を図る狙いの改革(日本版ビッグバン)は,金融システム改革法など関係法令の整備により徐々に進展している。この間,不良債権処理や株価低落に伴う銀行の自己資本不足から信用収縮が生じ,リスクに敏感な市場型金融も影響を受けたが,社債・CP,債権流動化などの市場は,新たな金融商品の開発もあり,伝統的な金融市場の閉塞状態を補完する形で規模を拡大した。3.銀行の不良債権と破綻処理は,金融再生・健全化関連法の枠組みにより60兆円の公的資金が用意され,自己資本を基準とした透明性の高い処理が行われる。この枠組みでは,健全行へは統一基準による償却・引当などに必要な公的資本を注入(主要行で7.4兆円),著しい過少資本行は特別公的管理・ブリッジバンクなどの方式で実質破綻処理される。主要行は公的資本注入時作成した「健全化計画」で,①人員・店舗などの経費削減,②得意分野への業務の絞り込み,③合併・提携など資金返済を可能とする収益力引上げを策している。この目的を実現するなかで,金融再編や金融商品多様化などビッグバン所期の狙いが促進されることとなろう。関係者の間では,投資家,債務者,金融仲介者がそれぞれの立場でリスクを分担し金融機能を強化できる「市場型間接金融」への誘導が望ましいとの意見が強い。今後,これに向けた法制・ルール整備が行われるが,その際投資家保護や過大な公的金融是正への配慮が求められる。上記の方向を踏まえて,系統信用事業がわが国の金融システム強化に果たし得る機能を見定め,系統内での役割分担やセーフティネット整備も含めて,これに即応した組織・態勢を整えていくことが望まれる。
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- 刊行年月日
- 1999年07月01日
- 著者/
研究者紹介 -
荒巻 浩明 (アラマキ ヒロアキ) :調査第二部 - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
1999年07月号 第52巻 第7号 通巻641号 2 ~ 20ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 第二分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- キーワード
- 金融システム改革,不良債権,金融業務,系統信用事業
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1236.html