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書誌情報

論題:金融ビックバン下の公的金融の動向-過渡期の変動と改革の展望-

99.07.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
金融ビックバン下の公的金融の動向-過渡期の変動と改革の展望-
要旨

日銀の「資金循環勘定」にみる公的金融は,郵貯・簡保,資金運用部,政府金融機関の三者で構成され,その国内金融市場におけるウェイトは90年代を通じて加速的に増加した。それは調達部門にあたる郵貯の伸びが一貫して高かったことによるところが大きい。その主因には定額郵貯の元加利子があるが,現金部分でも90年代前半は強い金利先安観のなかで定額の優位が続き,近年には「ニュー定期」が国営ならではの独特の付利方法で著増した。これらは当分続く郵貯のコスト高と同会計の大幅赤字の原因になっている。運用面では,不況初期には赤字国債回避のもとで一般財投が景気対策の主役として拡大され,民間貸出との競合傾向を強め,特別会計等への「隠れ借金」や地公団体向けも増加した。95年以降は民間の方が低利となる傾向が生じ,財投の民間向け貸出では期限前償還が増大,住宅公庫等への補給金が増加し,期限前償還ができない公共部門向けでは貸出先の金利負担が増加,財政赤字の原因になる傾向も生じた。公的金融の金利は自由化に対応して法定から市場連動に移行したが,なお政府裁量で決定され,預託=財投金利は期間7年で10年国債クーポンレート+0.2%を基準とし,これは預託制度の維持を困難にする基本要因の一つとみられる。97,98年は,民間ビッグバン,行財政改革への動きが進むなかで,一般財投がスリム化されたが,調達面の膨張は続いたため,公的金融の国債投資が著増,長期金利大幅低下の伏線をなした。98年末期からは国債発行の拡大,財投改革も絡む運用部の余資減少見込み等から逆に長期金利上昇の要因となり,市場の不安定性を強めている。2001年からは財投開始以来の大改革,郵貯・公的年金預託制度の廃止が新規分から始まり,高利定額の償還もあって波乱含みだが,公的金融の透明性,市場原理への適応は改革によって強められ,財投コスト分析の定着とともに,その効率性も高まることが期待される。

刊行年月日
1999年07月01日
著者/
研究者紹介
戸原   つね子 (トハラ ツネコ)
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
1999年07月号 第52巻 第7号 通巻641号  21 ~ 34ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1999/07/
第一分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内金融
第二分野
(大区分):経済・金融  (詳細区分):国内経済
キーワード
公的金融,郵貯特別会計,米国公的金融
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n9907re2.pdf  139.4KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1237.html