書誌情報
論題:会計ビックバンと企業経営の変化の方向-本格的なリストラクチャリングを求められる日本企業-
99.07.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 会計ビックバンと企業経営の変化の方向-本格的なリストラクチャリングを求められる日本企業-
- 要旨
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金融ビッグバンによる金融・証券市場のインフラ整備として,国際会計基準に平仄を合わせる形で,企業会計制度が大幅に改正される。制度改正の柱は,連結決算重視主義への移行,金融資産の時価評価導入,税効果会計の導入,退職給付会計の導入で,99年度決算から逐次実施される。特に従来の取得原価主義から時価主義への転換は,いわゆる「含み益経営」など従来の経営スタンスの抜本的な見直しを迫るもので,まさしく「会計ビッグバン」である。連結決算中心主義への移行は,子会社による親会社の決算操作を無意味なものにしグループ会社の見直しを迫る。金融資産の時価評価により,短期保有の金融資産の評価損益は当期損益の変動要因になることから,短期金融資産の見直しが求められるほか,持ち合い株式の評価損益も自己資本の変動要因になることから,株式持ち合い解消を促進しよう。税効果会計導入は,不良債権処理促進の意味合いもある。退職給付会計の導入は,企業年金等の退職給付の積立不足問題を表面化させ,企業財務への圧迫要因となるほか,雇用・賃金体系の再構築を迫るものとなろう。こうした企業経営の変化の方向に対し,既に98年度決算で連結ベースでの不良債権処理を進めた企業も出ており,資本効率化に向けた企業の本格的なリストラクチャリングが始動している。今後,キャッシュフロー計算書の導入もあり,資本コストの正しい認識とキャッシュフローに基づいた投資採算判断により,M&A等の手法による事業の選択と集中が加速しよう。こうして企業の経営環境が劇変するなかで,経営者も経済同友会の「企業白書」で経営者自らの改革の必要性を説いており,今後は,その改革のビジョンを IR 活動として自らが語り,実践していくことが期待される。
VIEW MORE CLOSE - 刊行年月日
- 1999年07月01日
- 著者/
研究者紹介 -
堀内 芳彦 (ホリウチ ヨシヒコ) : 役員・理事長・顧問・理事研究員 等 リサーチ&ソリューション第2部 理事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
1999年07月号 第52巻 第7号 通巻641号 35 ~ 49ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 第二分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内経済
- キーワード
- 会計制度改正,企業財務,連結決算,企業経営,資本効率重視
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1238.html