書誌情報
論題:地域金融機関としての農協のポジション-地域における農協の店舗・貯金シェア-
99.12.01[ 更新10.09.02 ]
- タイトル
- 地域金融機関としての農協のポジション-地域における農協の店舗・貯金シェア-
- 要旨
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都銀等の大型合併・提携によるメガバンクの誕生が大きな話題となっているが,その一方で,地域の経済や金融の今後についても注目されている。地域金融機関としての農協のポジションを考えるにあたり,実態をよりよく把握するため,本稿では通常利用されることの多い県別のデータではなく,市町村のデータと農協のデータの比較を行った。対象としたのは,市町村区域と農協の区域が一致する747市町村/農協である。
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地域における金融機関の店舗数(郵便局は含まない)のなかで,農協が占めるシェアの分布状況をみてみると,農協のシェアが51%以上という市町村が335(44.8%)あり,そのうち102市町村では,農協店舗のシェアが100%であった。地帯別には,過疎地域で農協の店舗シェアが高く,民間金融機関は農協しかないという地域が相当数あることが分かる。
地域の預貯金に占める農協貯金のシェアについては,26~30%の貯金シェアをもつ市町村が121(16.2%)あるが,店舗シェアの分布状況と比べると,郵貯の残高が入るために農協貯金のシェアは店舗シェアほど高くない。地帯別には,特定市で農協貯金のシェアが6.4%であるのに対し,過疎地域では29.9%であり,店舗シェアと同様,都市部ほど農協のシェアが低く,農村部ほど農協のシェアが高い。
店舗シェアと貯金シェアについて変動計数を算出すると,個別市町村/農協データの変動計数は県別のデータの約2倍となり,個別市町村/農協のデータは相当大きくばらついていることが分かる。日常,平均値を用いて議論をすることが多いが,個別農協ごとの差が大きいという現実を考慮する必要性は高い。特に,過疎地域を中心に民間金融機関は農協しかない,あるいは農協の店舗が過半を占める地域が相当数ある。こうした地域は,貯金残高等でみれば全国に占めるシェアは小さいため,平均値の議論ではなかなか実態が分からない。各地域において,農協が地域金融,ひいては地域経済においてどのような役割を果たしているかは,このような状況をふまえた上で,貸出等も含めた事例研究を重ねるとともに,地域の資金循環なども明らかにしていく必要があろう。 - 刊行年月日
- 1999年12月01日
- 著者/
研究者紹介 -
重頭 ユカリ (シゲトウ ユカリ) : リサーチ&ソリューション第1部 理事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
1999年12月号 第52巻 第12号 通巻646号 36 ~ 45ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農協信用事業
- キーワード
- 農協シェア,農協貯金,店舗シェア,預貯金シェア
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1264.html