書誌情報
論題:新規参入銀行の現状-利便性を提供し特定業務に特化する新規参入銀行-
02.04.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- 新規参入銀行の現状-利便性を提供し特定業務に特化する新規参入銀行-
- 要旨
-
2000年から2001年にかけて,ジャパンネット銀行,アイワイバンク銀行,ソニー銀行,イーバンク銀行が銀行業に参入した。これらの銀行は,インターネットやATMを主な取引チャネルとして業務を行っている。参入の背景には,①インターネットの普及,②金融機関を取り巻く環境の変化,③親会社との補完・相乗効果の発揮等がある。
VIEW MORE CLOSE
日本経済新聞社実施の『金融行動調査』によって,利用者側の状況をみると,2000年から2001年の調査では,コンビニエンスストアに設置されたATMの利用経験者の割合は倍増し,特に若い世代の利用が増えた。インターネットバンキングの利用経験者の割合は5%で,若い世代ほど利用割合が高いが,インターネット利用者のなかでは高齢層でも利用が徐々に普及している。新規参入銀行のなかでは,ソニー銀行,アイワイバンク銀行に対して利用意向を持つ人の割合が比較的高い。
新規参入銀行は,特定の業務に特化しており,既存の銀行のようにフルサービスを提供しているわけではない。そのため,これまでのメインバンクに対して,特定の分野については既存の銀行以上に密接な取引を行うセカンドバンクを志向している。これらの銀行の利用者が増えると,お金を下ろすなら銀行ではなくコンビニエンスストアへ行くというように,金融機関利用者の行動が変化することも考えられる。
新規参入銀行の利用者拡大には,提供している商品やサービス内容の認知が重要である。セカンドバンク志向とはいえ,既存の銀行と競合する業務分野も多く,競争も厳しい。2001年9月の中間決算では,①開業直後であるため顧客の数が少ない,②予定している商品やサービスが出そろっていない,③情報システムやATMの設置等に経費がかかった,④顧客を囲い込むため手数料の割引や金利の優遇を行った,⑤低金利で運用環境が厳しい等により各行とも最終赤字となった。銀行免許取得の条件として開業後3年目の黒字化を義務づけられており,各行とも収益の拡大が急務となっている。 - 刊行年月日
- 2002年04月01日
- 著者/
研究者紹介 -
重頭 ユカリ (シゲトウ ユカリ) :調査第一部 副主任研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2002年04月号 第55巻 第4号 通巻674号 50 ~ 68ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):経済・金融 (詳細区分):国内金融
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1436.html