書誌情報
論題:2004年度の組合金融の展望-普通預貯金等のペイオフ凍結解除を前に-
04.01.01[ 更新10.06.18 ]
- タイトル
- 2004年度の組合金融の展望-普通預貯金等のペイオフ凍結解除を前に-
- 要旨
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2004年度の環境としては,所得や雇用は若干の改善が予想されるものの,消費が大きく伸びることはなく,住宅投資も若干減少するとみられていることから,金融機関の貯金,貸出金が大きく増える要素は少ないと考えられる。こうした状況下で,金融機関の資金動向にとっては,05年4月に予定されている普通預貯金等のペイオフ凍結解除や住宅ローンの獲得がポイントとなるとみられる。
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個人の金融資産の残高は横ばい圏内で推移しようが,元本の安全性に対する選好は一層強まっていることから,預貯金は緩やかな増加が見込まれる。一方で,銀行等では投資信託や外貨預金の販売を積極的に行っており,低金利に満足できない一部の個人の利用が進むことも想定される。また,普通預貯金等のペイオフ凍結解除が予定されていることから,安全性志向の個人にも,国債や地方債のミニ公募債の人気が高まるであろう。
定期性預貯金のペイオフ凍結解除に際しては,流動性預貯金への資金シフトや金融機関の間での預け替え,分散化などの動きがみられた。普通預貯金のペイオフ凍結解除を控え,金融機関の経営への信頼性が揺らぐような事態が発生すれば,ふたたび資金が動く可能性もあろう。農協貯金の場合は,流動性貯金への資金シフトもそれほど大きくなく,既に定期性貯金も前年比増加に転じていることから,普通預貯金等のペイオフ凍結解除を契機に資金が外部に動く可能性は相対的に小さいと考えられる。近年では,景気低迷の影響を受け,土地代金や農外所得等の貯金財源が縮小し,他業態から流入した資金が貯金増加に大きな役割を果たすようになっている。04年度も他業態からの資金流入がどれだけあるかが農協貯金の伸び率に影響を及ぼすとみられる。
農協では,基盤となる農家の持家比率が高いことから,これまで他業態に比べて住宅ローン残高の伸び率が相対的に低かった。しかし,今年度に入ってからは,住宅関連業者との提携や,住宅ローン相談会の実施,住宅金融公庫よりも有利な住宅ローン商品の取扱い開始等により残高が増加しており,足元の貸出金の伸び率回復にも影響しているとみられる。04年度についても,他の金融機関同様他に有力な貸出先がないことから,住宅ローンの動向によって農協の貸出金の伸び率が左右されよう。 - 刊行年月日
- 2004年01月01日
- 著者/
研究者紹介 -
重頭 ユカリ (シゲトウ ユカリ) : リサーチ&ソリューション第1部 理事研究員 研究員紹介を見る - 掲載媒体
- 定期刊行物 『農林金融』
2004年01月号 第57巻 第1号 通巻695号 16 ~ 24ページ - 掲載コーナー
- 論調
- 第一分野
- (大区分):協同組合・組合金融・地域 (詳細区分):農協信用事業
- 出版者・編者
- 農林中央金庫 発行 / 株式会社農林中金総合研究所 編集
- ISSN
- 1342-5749
- 書誌情報URL
- https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1601.html