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書誌情報

論題:ヨーロッパにおけるソーシャル・ファイナンス-社会的な利益追求を目標にする金融機関-

04.06.01[ 更新10.09.02 ]

タイトル
ヨーロッパにおけるソーシャル・ファイナンス-社会的な利益追求を目標にする金融機関-
要旨

イタリアの倫理銀行は,融資先を,①社会的な協同,②文化・市民社会,③国際的な協同,④環境,の4つの分野で活動する組織に限定している。組織形態としては,協同組合,NPO,アソシエーション等が中心で,営利企業は対象としない。預金者は預金を4つのうちどの分野へ融資するかを選んだり,預金金利を上限からゼロの間で決めたりすることができる。もし金利をゼロ,あるいは上限より低くすることを選択すると,預金者は経済的なメリットを放棄するかわりに,社会的な目的をもつ組織の活動の発展に貢献することができる。
 オランダで設立されたトリオドス銀行も,融資先を社会・環境・文化的な付加価値の達成を目的とする事業やプロジェクトに限定している。こうした銀行はソーシャルバンクと呼ばれ,ヨーロッパには複数存在し,顧客を増やしている。
ソーシャルバンク,クレジット・ユニオン等の活動は,ソーシャル・ファイナンスと総称される。ソーシャル・ファイナンスは,「金融面での利益と同様に,社会的な利益や社会的配当を求める組織による資金供給」と定義される。社会的な利益を達成する活動目標は多岐にわたり,貧困の削減,雇用の創出,国際労働基準を遵守すること,金融グローバリゼーションの恩恵をより公平に分配すること等がある。
 ソーシャル・ファイナンスが注目されるようになった背景には,①一般の金融機関が不採算とみられる分野から撤退していること,②融資の対象となる社会的企業等のサードセクター組織がヨーロッパ諸国において発展していること,③社会的責任投資のように,経済活動の社会的な結果に対して関心が高まっていることが挙げられる。
 日本においてもNPOに融資を行う金融NPOが各地で設立されている。今後はソーシャル・ファイナンスへの需要が高まる可能性があり,倫理銀行やトリオドス銀行等のヨーロッパの経験は参考になると考えられる。また,一般の金融機関にとっても,自らの経済活動の社会的な結果を重視し,透明性の向上や,新しい審査手法の開発を図る動きには学ぶ点もあろう。

刊行年月日
2004年06月01日
著者/
研究者紹介
重頭   ユカリ (シゲトウ ユカリ) リサーチ&ソリューション第1部   理事研究員 研究員紹介を見る
掲載媒体
定期刊行物 『農林金融』
2004年06月号 第57巻 第6号 通巻700号  2 ~ 16ページ
掲載コーナー
論調
掲載号目次
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/2004/06/
第一分野
(大区分):協同組合・組合金融・地域  (詳細区分):海外協同組織金融機関
キーワード
倫理銀行,トリオドス銀行,INAISE
出版者・編者
農林中央金庫 発行   / 株式会社農林中金総合研究所 編集
ISSN
1342-5749
PDF URL
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n0406re1.pdf  101.1KB
書誌情報URL
https://www.nochuri.co.jp/periodical/norin/contents/1643.html